構造システムは、建築構造計算および各種構造計算用ソフトウェア(一貫構造計算、耐震診断計算、耐震補強、応力解析、振動解析など)のプログラム開発と販売を行っています。

許容応力度計算から保有耐力の解析まで

事例レポート

許容応力度計算から保有耐力の解析まで
- 操作性を評価されたWALL-1 -

多田脩二構造設計事務所では、100m²や200m²規模の壁式住宅や延床面積200~1000m²弱のコンパクトな集合住宅の構造設計を数多く扱っています。
第16回JSCA賞 作品賞、2005年松井源吾賞を受賞され、佐々木睦朗構造計画研究所の所員時代からアトリエ系設計事務所の構造設計をされている多田 脩二 氏にお話を伺いました。

導入の決め手は使いやすさ

多田 脩二 氏
多田脩二構造設計事務所
多田 脩二 氏
多田脩二構造設計事務所
設立
2004年
代表者
多田 脩二
所在地
東京都世田谷区若林4-7-4
URL
https://info47728.wixsite.com/shujitada

「2004年に独立してから、住宅を多く扱うようになりました。 住宅や小規模集合住宅で鉄筋コンクリートというと、大半が壁式になります。壁式の物件を年間10件近く扱うようになり、また耐震偽装事件による確認申請の厳格化により、壁式の一貫構造計算ソフトウェアの導入を検討していました。 はじめは他社の候補を考えていましたが、どこまでできるのか把握しきれなかったり、金額もやや高かったりと決定には至りませんでした。
そんな時、"『WALL-1』は使いやすい"と知人に勧められました。 実際に使用してみたところ、開口もスムーズに入れられ、短時間で概算モデルを作成でき答えが出せる点が非常に使いやすいと思いました。 協力事務所間でも評判がよく、導入を決めました。
2009年頃から使い始め、現在はほとんどの物件で『WALL-1』を使用しています。 ただ、モデルが複雑で難しそうなものも若干ありますので、そういう場合は他のFEM解析でフルモデルや部分モデルを組みます。 しかし、そういうモデルに関しても、基・規準を網羅している『WALL-1』で概算のモデルを作り検証するようにしています。
主要な部分を『WALL-1』、別途検討としてFEMのように使い分けて、申請書類として『WALL-1』を用いて提出することもあります。 『WALL-1』はいままでの実績がありますから確認申請の通りがいいですね。」


事例
「KMM3 APARTMENT」

KMM3 APARTMENT 外観 (写真提供:ISSHO建築設計事務所)

KMM3 APARTMENT 外観
 (写真提供:ISSHO建築設計事務所)

「この物件は3階建て全9戸の集合住宅です。 プランニングも壁配置も非常にシンプルで、壁式構造に適した建物です。 角度をつけた出窓がアクセントになっています。 整形で上下階の壁も揃っており、構造として難しいことはなく、ランダムな窓開口が特徴的で、まさに『WALL-1』による設計に適した建物です。 また、各住戸の天井面をRCの打ち放しとするため、室内の梁を逆梁としています。 梁天端の変更が自由にできることも『WALL-1』の特徴のひとつです。」


許容応力度計算から保有耐力の解析まで可能

WALL-1 3D表示画面 (KMM3 APARTMENT)

WALL-1 3D表示画面
 (KMM3 APARTMENT)

「『WALL-1』は、操作性の高さが魅力です。 平均せん断応力度法のみではなく、立体で線材モデルを自動生成し応力解析を行えるので、自由度が高いと思います。 ある程度、梁の剛域の設定を選択したり支点を動かせたりと、コントロールしやすいところがいいですね。 特に、支点を設計者が意図する位置に動かせるのは大きいと思います。 また、バネも入力できるのは特筆すべき点だと思います。 バネは、杭で設計するときに非常に便利なので使ってみたい機能です。
グリッドとは別にグリッドを斜めに結ぶ任意の通りを設けられるため、平面的に複雑な物件でもモデル化できます。 基・規準に沿った検討が行え、保有耐力まで解析できるので助かっています。
今後の要望としては非剛床への対応が挙げられます。 また、出力ページ数は増えてしまいますが、応力図を『曲げ』は『曲げ』のみ、『軸力』は『軸力』のみなど、選択で別々の応力図として出力できると便利ですね。
構造階高や意匠階高など細かく設定が用意されていますが、関連性がわからなくなり一度サポートに質問しました。 それ以外は、ほとんどサポートに頼ることなく使用しています。 現在は構造階高も初期設定のままで、ほぼ自動でモデル化できています。 また、念願の3D表示機能も追加され、リアルタイムに形状を表示し視点を動かせるようになり、操作性が向上したと思います。」


混構造での使用にも期待

「『WALL-1』は、工夫次第でさまざまな活用が可能です。 先にも述べましたが、任意の通り軸を設けることができるため、非常に複雑なモデルでも対応でき、確認申請にも通用します。
また、壁式の建物の上に木造を載せるような混構造の場合、検討に手間がかかり、確認申請の審査も厳しくなりがちです。 木造の上部構造は在来木造の構造計算ソフトウェア『HOUSE-ST1』で解析し、木造の柱位置に節点重量を落として、反力を入れていく、もしくは重量をならして床荷重として入れてしまうなど、『WALL-1』との連携を設計方針に合わせてうまく考えていけば便利に使用できます。
今後のさらなる機能改善に期待しています。」

※ 「KMM3 APARTMENT」は、新建築2011年2月号に掲載されています。


許容応力度計算から保有耐力の解析まで

WALL-1」は、壁式鉄筋コンクリート造建物の一貫構造計算ソフトウェアで、(一財)日本建築センター他編集「壁式鉄筋コンクリート造設計施工指針」、日本建築学会「壁式構造関係設計規準集・同解説」に準拠しています。
平成19年に改正された建築基準法に対応した許容応力度等計算から保有水平耐力計算までを一連で行い、構造計算書の出力のほか、構造計算概要書や構造計算適合性判定提出に必要な図やデータを出力することができます。

「WALL-1」の機能紹介 



建物形状をそのまま入力できるから、不整形な建物でも作業がスイスイ進む




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