構造システムは、建築構造計算および各種構造計算用ソフトウェア(一貫構造計算、耐震診断計算、耐震補強、応力解析、振動解析など)のプログラム開発と販売を行っています。
KT-基礎は、KozoToolシリーズ(構造計算を支援するプログラム群)の1つで、杭と地盤の支持力計算、地盤の液状化や沈下量の計算、杭の応力・断面計算、杭基礎を含む独立フーチング基礎、布基礎・べた基礎の基礎スラブの応力・断面計算を行うソフトです。
構造耐力上安全で経済的な杭や基礎の仕様を明確に把握することができますので、施工を考えた設計を進めることが可能です。
構造モデラー+基礎との相違点
構造モデラー+基礎は、入力した建物データの下部構造(基礎構造)全体を対象とします。
KT-基礎は、地盤のみや、1本の杭、1基の杭基礎を含む独立フーチング基礎から計算を行うことができる単独プログラムです。
基礎部分の個別検討を行うときに威力を発揮します。
データ入力/チェックが簡単
操作画面
ダイアログボックス上で簡単入力
計算に必要な条件や数値などをウィンドウ上で、簡単に入力(対話形式)・選択することができます。
1つのウインドウ・ダイアログ上で、入力~計算~出力までを完結させることができ、架構の入力等を気にせずに、電卓感覚で計算を行うことができます。
入力データをすばやくチェック
計算結果が画面上に表示されるため、入力データを変更しながら計算結果を確認することができます。
入力データ数に制限がない
計算内容に応じてダイナミックにメモリを確保しますので杭数や基礎、各種計算条件などの入力数を気にせずに入力を行うことができます。
杭種・基礎形状
杭
扱う杭形状 [ 杭種一覧 ]
杭基礎
1本杭 | 2本杭 | 3本杭 |
---|---|---|
4本杭 | 5本杭 | 8本杭 |
※ 杭本数は最大25本まで入力できます。
※ 杭基礎頂点座標や杭心座標を直接入力できます。
直接基礎
計算機能一覧
杭・地盤の支持力計算
杭の支持力計算の入力
入力された土質柱状図と杭径・杭長等の諸元から、杭体の圧縮・引張耐力、杭の支持力、引抜き抵抗力を求めます。
杭の支持力計算は告示・学会指針式だけでなく、杭メーカーの認定工法式による計算が可能です。引抜き抵抗力の算出に加え、ネガティブフリクションや群杭効果を考慮することもできます。
各係数(α、β、γ)や杭先端平均N値の算定範囲やN値等の上限または下限を直接設定することもできるため、プログラムに組み込まれていない認定工法による計算を行うことも可能です。
敷地内で地盤の条件が違う場合など複数の土質柱状図に対して支持力の検討ができます。
地盤の支持力計算は支持地盤特性と基礎形から支持力度を求めます。告示、学会指針の2式から選択することができます。
液状化判定
入力された土質柱状図に対して液状化の検討を行い、各層に対する液状化発生の有無、水平地盤反力係数khの低減率を求めることができます。求めたkh低減率は多層地盤を想定した杭の水平耐力計算で考慮することができます。
土質柱状図の入力
液状化判定計算結果
杭
場所打ち杭、鋼杭、既製杭の3種の杭から選択することができ、異なる杭種、杭径、板厚、杭長などを混在させることができます。
継杭は杭種の変更、異径等複雑な組み合わせにも対応しています。
例1) 上杭:ストレート杭(SC、またはPRC)
中杭:ストレート杭(PHC)
下杭:節杭
例2) 上杭:ストレート杭(SC、またはPRC)
中杭:ストレート杭(PHC)
下杭:拡底杭
例3) 上杭:大径ストレート杭(SC、またはPRC)
中杭:拡頭ストレート杭(ST)
下杭:節杭
※ 上記は例であり、継杭数に制限はありません。4種類、5種類の杭を継ぐことも可能です。
既製杭の断面諸元はデータベース化されており、各種数値を入力する手間が省けます。長杭(無限長杭)と短杭(有限長杭)の混在も可能で、個々に杭頭固定度や突出長を考慮することも可能です。杭体の変位・応力図やM-N相関曲線の表示と出力を行うこともできます。
杭1本当たりに作用する水平力を杭頭変位が等しくなるように水平剛性に応じて分配し、その水平力に対して必要な耐力を満たす杭種や鉄筋量を算定、または安全性の検討を行います。杭体の応力・変位計算に対しては一様地盤モデル(Chang式)、多層地盤モデル(土質柱状図に基づく)を選択することができます。
計算種別 | 杭種別 | 計算内容 |
---|---|---|
算定計算 | 場所打ち杭 | 杭1本当たりに作用する水平力に対して、必要な鉄筋量(主筋・せん断補強筋)を求めます。 |
鋼杭 | 杭1本当たりに作用する水平力に対して、必要な耐力を満たす鋼管厚を求めます。 | |
既製杭 | 杭1本当たりに作用する水平力に対して、必要な耐力を満たす杭種を求めます。 | |
検定計算 | 指定した杭径、杭種と応力を比較し、軸力、水平力に対する安全性の検討を行います。場所打ち杭に関しては入力された主筋、せん断補強筋に対する安全性の検討を行います。 | |
一括計算 | 入力した杭種に対して、データベースに登録されている全杭径を対象とし、上記の算定計算または検定計算を行います。 |
基礎フーチング、スラブの計算
杭または地盤から作用する荷重に対する断面計算を行います。基礎フーチングは、基礎が偏心している場合等、基礎で発生する曲げモーメントを負担させることもできます。
計算種別 | 基礎種別 | 計算内容 |
---|---|---|
算定計算 | 杭基礎 | 杭反力に対して必要な鉄筋量を求めます。 |
独立フーチング | 地反力に対して必要な鉄筋量を求めます。 | |
布基礎 | ||
べた基礎 | ||
検定計算 | 杭基礎 | 杭反力に対する配筋の安全性の検討を行います。 |
独立フーチング | 地反力に対する配筋の安全性の検討を行います。 | |
布基礎 | ||
べた基礎 |
杭基礎
杭基礎の入力
1基の杭基礎に対して、最大25本まで杭を配置することが可能です。
なお、基礎底版面における杭の位置は任意に設定することができ、さらに縁空きではなく基礎寸法を直接入力することもできます。
杭反力に対するベース筋の計算とパンチングシアーを計算し、引抜きが発生した場合には上筋(はかま筋)の計算も行います。
基礎の偏心や回転に伴うフーチング応力の自動算定や偏心曲げモーメントの自動計算も可能です。発生した杭頭曲げや偏心曲げモーメントは建物の実状(基礎ばりの有無等)に合わせて基礎フーチングで負担する割合を指定することができます。
また、施工誤差を入力することができ、その施工誤差を杭反力計算に考慮、フーチングの鉄筋量計算時の柱面からの片持ち応力で考慮、基礎の偏心曲げモーメントとして考慮する等の選択を行うことができます。
杭頭接合部の鉄筋量計算、杭頭接合部の各種応力に対する強度検討を行うことができます。
接合方式は「主筋定着方式1(主筋の延長・つり出し)」「主筋定着方式2(鉄筋フレア溶接)」「中詰め補強方式」「埋込み方式」の4式の中からユーザー自身で指定することができ、鉄筋量検討時の仮想コンクリート断面のオフセットやアンカー筋の定着長さも指定することができます。
独立フーチング基礎
地反力に対するベース筋の計算とパンチングシアーを計算します。
また、引抜きが発生した場合には上筋(はかま筋)の計算も行います。
杭基礎と同様に基礎の偏心や回転に伴うフーチング応力の自動算定や偏心曲げモーメントの自動計算も可能です。
発生した曲げモーメントは建物の実状(基礎ばりの有無等)に合わせて基礎フーチングで負担する割合を指定することができます。
布基礎
地反力による基礎スラブの応力計算、および断面計算を行います。
短期の地反力を作用させることも可能です。
べた基礎
地反力による基礎スラブの応力計算および断面計算を行います。
4辺固定・3辺固定・2辺固定・片持スラブなどの16種類の拘束条件が可能で、地反力は等分布のほか、等変分布も可能です。
また、短期の地反力を作用させることも可能です。
利用できる拘束条件
四辺固定(精算) | 三辺固定 長辺自由 | 三辺固定 短辺自由 |
三辺固定 長辺ピン | 三辺固定 短辺ピン | 二対辺固定 長辺ピン |
二対辺固定 短辺ピン | 二隣辺固定 二辺自由 | 二隣辺固定 二辺ピン |
三辺ピン 短辺固定 | 三辺ピン 長辺固定 | 四辺ピン |
四辺固定(略算) | 一方向板(両端固定) | 一方向板(両端ピン) |
片持板 |
沈下量計算
入力された土質柱状図の各土質パラメータに従って、独立フーチング基礎の即時沈下、圧密沈下量の計算を行います。杭基礎に対しても杭を群杭と見なした等価荷重面の寸法を入力することにより同様に検討できます。
杭種一覧
場所打ち杭
杭種名 |
---|
場所打ちコンクリート杭 |
上部鋼管巻き場所打ちコンクリート杭(SB耐震杭) |
場所打鋼管コンクリート杭(TB耐震杭) |
既製コンクリート杭
鋼管杭
会社名 | 杭種名 |
---|---|
- | 鋼管杭(ストレート杭)、回転貫入鋼管杭(翼杭、先端羽根付き杭) |
株式会社東部 | e-pile |
e-pile next | |
株式会社トラバース | GGパイル |
スーパータイガーパイル | |
(一社)ダイナ・メガ・プレス工法協会 | ダイナメガプレスパイル |
ガイアパイル株式会社 | ガイアスーパーパイル |
株式会社三誠 | G-ECSパイル |
N-ECSパイル | |
ユーザー定義 ※3 | - |
※1: | 一般社団法人 コンクリートパイル建設技術協会(COPITA)のCPRC杭、JIS強化型PHC杭、PHC杭、SC杭は同社テキスト「既製コンクリート杭-基礎構造設計マニュアル-建築編」記載の既製杭です。KT-基礎では他メーカー製品と区別するため「コピタPHC」、「コピタSC」、「コピタHi-SC」と明記しています。 |
※2: | バージョン「1.0.0.7」よりも古いバージョンで作成されたデータとの互換性確保のために残してあります。バージョン「1.0.0.7」以降のプログラム上で使用された場合は、準備計算時に警告メッセージが出力されます。 |
※3: | 上記以外の杭に対しても、ユーザー定義杭として断面諸元を直接入力することができます。 (下表参照) |
ユーザー定義対象杭種
杭種 | 種類 |
---|---|
PHC杭 | A、B、C |
PRC杭 | Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ |
SC杭 | - |
ST杭 | A、B、C |
PRC杭(せん断補強) | Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ |
PHC(JIS)杭 | A、B、C |
節付PHC杭 | A、B、C |
節付PRC杭 | Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ |
節付PRC杭(せん断補強) | Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ |
鋼管杭 | ストレート杭 |
回転貫入鋼管杭 | 先端拡翼、羽根付き鋼管杭 |
杭と地盤の支持力計算式一覧
告示、指針
提供元 | 工法名 | 分類表による工法名 |
---|---|---|
国土交通省 | 告示1113号(打込み杭) | - |
告示1113号(埋込み杭) | - | |
告示1113号(場所打ちコンクリート杭) | - | |
(一社)日本建築学会 | 2001年版基礎指針(打込み杭) | - |
2001年版基礎指針(埋込み杭) | - | |
2001年版基礎指針(場所打ちコンクリート杭) | - | |
東京都 | 東京都(打込み杭) | - |
東京都(埋込み杭) | - | |
東京都(場所打ちコンクリート杭ルートA(施工法A)) | オールケーシング工法、リバースサーキュレーション工法、アースドリル工法 | |
東京都(場所打ちコンクリート杭ルートA(施工法B)) | BH工法、ミニアースドリル工法 | |
東京都(場所打ちコンクリート杭ルートB) | - | |
横浜市 | 横浜市(打込み杭) | - |
横浜市(埋込み杭) | - | |
横浜市(場所打ちコンクリート杭) | - | |
大阪市 | 大阪市(打込み杭) | - |
大阪市(埋込み杭) | - | |
大阪市(場所打ちコンクリート杭) | - |
認定工法(鋼管杭)
提供元 | 工法名 | 分類表による工法名 |
---|---|---|
株式会社トラバース | SMD(スーパーミニドリル)杭工法 | 小口径回転貫入鋼管杭工法 |
GGパイル工法(Gran Great Pile) | 鋼管ソイルセメント杭工法 | |
スーパータイガーパイル工法 | 鋼管ソイルセメント杭工法 | |
株式会社東部 | e-pile工法 | 回転貫入鋼管杭工法 |
e-pile next工法 | 回転貫入鋼管杭工法 | |
(一社)ダイナ・メガ・プレス工法協会 | ダイナ・メガ・プレス工法 | 翼付き鋼管杭回転圧入工法 |
ガイアパイル株式会社 | ガイアスーパーパイル工法 | 回転貫入鋼管杭工法 |
株式会社三誠 | G-ECSパイル工法 | 回転貫入鋼管杭工法 |
N-ECSパイル工法 | 回転貫入鋼管杭工法 |
認定工法(既製コンクリート杭)
提供元 | 工法名 | 分類表による工法名 |
---|---|---|
日本コンクリート工業株式会社 | RODEX工法(TypeⅠ) | プレボーリング拡大根固め工法 |
RODEX工法(TypeⅡ) | ||
ST-RODEX工法(TypeⅢ) | ||
NAKS工法 | 中彫拡大根固め工法 | |
中堀り打撃工法 | 中堀り打撃工法 | |
打撃工法 | 打撃工法 | |
Hyper-MEGA工法(標準型) | プレボーリング拡大根固め工法 | |
ジャパンパイル株式会社 | GMTOP工法 | プレボーリング根固め工法 |
Hyper-MEGA工法(標準型) | プレボーリング拡大根固め工法 | |
Hyper-MEGA工法(膨張型) | ||
BASIC工法 | ||
三谷セキサン株式会社 | BFK工法 | プレボーリング根固め工法 |
BFK-COMBO工法 | ||
SUPERニーディング工法 | プレボーリング拡大根固め工法 | |
株式会社北雄産業 | TAPP工法 | 無排土・圧土工法 |
RCM工法 | セメントミルク工法 | |
株式会社トーヨーアサノ | ケムン工法 | プレボーリング拡大根固め工法 |
STケムン工法 | ||
STJ工法 | 中彫拡大根固め工法 | |
セリファーFK工法 | プレボーリング根固め工法 | |
MRX工法 | プレボーリング拡大根固め工法 | |
MRXX工法 | ||
日本ヒューム株式会社 | ハイビーエム(H・B・M)工法 | プレボーリング拡大根固め工法 |
ハイエフビー(HiFB)工法 | プレボーリング根固め工法 | |
TBSR工法 | プレボーリング拡大根固め工法 | |
New-STJ工法 | 中堀拡大根固め工法 |
ユーザー定義式
ユーザー自身が入力した先端支持力係数、杭周面摩擦力係数(P1~P12)、先端平均N値の算定範囲、各種土質性状(N値、qu値)の上下限値に基づいて計算します。
計算式 | |
---|---|
式1 | |
式2 |
計算結果出力
計算書(計算結果)の出力は表と図(グラフ)を用いて計算結果をコンパクトで見やすく出力します。カラー表現もでき、計算結果の要点を容易に確認できます。
(杭体の応力・変位図やM-N相関曲線図も一連の出力中に含まれます)
準拠基準
建築構造に関する法令や、国土交通省告示および技術的助言、下記の基準類に基づいています。
国土交通省住宅局建築指導課他監修
一般財団法人 日本建築センター
一般財団法人 日本建築学会
一般社団法人 コンクリートパイル建設技術協会
公益社団法人 日本道路協会
東京都建築構造行政連絡会
横浜市建築局
大阪市住宅局建築指導部
一般財団法人 日本建築総合試験所
耐震杭協会
東洋一・小森清司
公益社団法人 土木学会
一般財団法人 日本建設情報総合センター
KT-SUB
荷重計算(積雪、風圧力、屋根ふき材等の風圧力、地震力)、RC造(小ばり、スラブ、階段)、S造(小ばり、耐風ばり、母屋、間柱、合成小ばり、横補剛の接合部と剛性確認計算など)の2次部材の計算を行います。
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