構造システムは、建築構造計算および各種構造計算用ソフトウェア(一貫構造計算、耐震診断計算、耐震補強、応力解析、振動解析など)のプログラム開発と販売を行っています。
事例レポート
木造軸組工法による大規模木造の構造設計
- 操作性を評価されたHOUSE-ST1 -
株式会社アキ・アーキテクトは、構造設計業務、耐震診断や補強改修設計業務を中心に、建築に関する企画・計画・設計・工事監理、免震・制振建物の企画・設計、建築・土木に関するコンサルティング業務、緑化事業の企画・設計などを行っています。
また、最近では、通信用鉄塔や衛星架台など特殊構造物の耐震診断にも力を入れられています。
福島県南相馬市に2013年9月完成予定の「サービス付き高齢者向け住宅 相馬の里」の構造計算を担当された小谷 文啓 氏にお話を伺いました。
導入経緯
「弊社は公共施設や全国のNTT建物の耐震診断・耐震改修の実績を多数有しておりますが、2004年に初めて木造住宅の依頼を請けることになりました。
そのため、木造用の構造計算ソフトとして、『HOUSE-ST1』を導入しました。
元々、構造システムのRC/SRC/S造建物の一貫構造計算ソフト『BUS』や任意形状立体フレームの弾性応力解析ソフト『FAP-3』などを使用しており、社員が操作体系に慣れていたこと、また、的確なサポート対応や申請の通りの良さなど、構造システムへの信用が決め手になりました。
今回、木造平屋建てである『相馬の里』の依頼を請けましたので、最新版にバージョンアップし、案件にあたらせていただきました。」
事例「サービス付き高齢者向け住宅 相馬の里」
HOUSE-ST1の3Dモデル
「この物件は、木造平屋建てのサービス付き高齢者向け住宅です。
建築面積で800m²を超える建物だったため、普通の木造住宅とは違ったイレギュラーなスパンなどもあり、入力には創意工夫を要しました。
設計図どおりに入力するとプログラムの適用範囲(X・Y軸数各90)を超えてしまうため、途中でプランのモデル化が必要になりました。
また、段差のある屋根形状があったため、小屋束の部分は、特殊荷重を入れて考慮しています。
『HOUSE-ST1』は軸の追加や削除、スパン長変更などが直感的に操作できたため、比較的スムーズに入力できたと思います。
特に、3D表示には助けられました。伏図で部材入力を行う場合、軸組図と3Dへ同時に反映表示されるため、柱や壁などの部材配置がミスなく行えました。」
はじめてでも安心のヘルプ機能
HOUSE-ST1のヘルプ画面
「私は今回初めて『HOUSE-ST1』を使用したのですが、サポートを利用することなく操作できました。
アイコンにカーソルをかざすと機能説明が表示されるため、入力はスムーズでした。
また、コマンドを選択した状態でF1キーを押すとHTMLヘルプが開き、詳しい操作説明を参照できるので重宝しました。
ダイアログや画面の画像が多く、目で見てわかるのがいいですね。
柱が多い分入力には手間がかかりましたが、一度データを入れてしまえば、シミュレーションは快適でした。
この規模の木造建築物ですと、直感的に操作でき、何度もシミュレーションできるソフトが必要不可欠だと感じました。」
機能拡大に期待
簡単な操作と豊富な自動計算機能
「HOUSE-ST1」は、木造軸組工法の構造計算を行うソフトで、3階建てのほか、2階建て以下、混構造の木造部分の計算を行います。
伏図、軸組図、3Dのいずれでも入力・編集ができるほか、CAD図面を下図にして入力できます。
上部構造から基礎構造(べた基礎、布基礎)までの一連計算を行います。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づいた構造の安定に関する計算も行いますので、長期優良住宅の「耐震性」認定にも利用できます。
N値法や告示、N値計算法に準拠した方法による金物選定計算ができます。
グラフィカルな出力で確認しやすく、確認申請用の構造計算書または品確法の形式で出力します。
準拠基準等:
(公財)日本住宅・木材技術センター 企画発行「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)」ほか
「HOUSE-ST1」の機能紹介