構造システムは、建築構造計算および各種構造計算用ソフトウェア(一貫構造計算、耐震診断計算、耐震補強、応力解析、振動解析など)のプログラム開発と販売を行っています。

意匠設計の複雑な要望に応える構造設計

事例レポート

意匠設計の複雑な要望に応える構造設計
- 優れた操作性と確認申請の実績が評価されたBUS -

牧野構造計画では、主に意匠設計事務所から設計依頼を請け、構造設計一式を行っています。 構造設計歴30年になる牧野 里美 氏は、その経験と人脈を生かし、多くの建物の安全を保証されてきました。 また、そのすべての物件で『BUS』を利用されています。 谷口 明雄 氏は、牧野 氏の発想を堅実に検証・実現させる構造設計パートナーとして実務を担当されています。
今回の事例では、隈研吾建築都市設計事務所が設計され、お二人が構造設計を担当された「浅草文化観光センター」についてお話をお伺いしました。

導入の決め手は使いやすさと信頼性

牧野 里美 氏(右)、谷口 明雄 氏(左)
牧野構造計画
牧野 里美 氏(右)、谷口 明雄 氏(左)
牧野構造計画(事務所閉鎖)
設立
2001年3月1日
代表者
牧野 里美
所在地

「30年前はまだ一貫構造計算ソフトが普及していなかったため、主に日本電電公社のDEMOSを利用していました。 また構造システムのFAPなど、任意形状立体応力計算ソフトで応力解析のみを行い、得られた応力値を基に別途で断面算定を行っていました。
一連計算ソフトの導入は、『BUS-2』が最初です。 入力方法がDEMOSと近かったので入力しやすく、ソフトの信頼性も高かったことから導入を決めました。 関連する事務所でも『BUS』を利用しているところが多く、それからはずっと構造システムのソフトを利用しています。」


事例「浅草文化観光センター」

浅草文化観光センター

コンペ案の模型写真(左)、完成した浅草文化観光センター(右)

「この物件は、S造一部SRC造地下1階地上8階建て延べ2,160m²の規模のインフォメーション施設です。 築後50年以上を経て老朽化した旧センターの建て替えにあたって、2008年末に公開コンペが行われ、隈研吾建築都市設計事務所の隈研吾氏が最優秀賞を受賞されました。 隈氏はその設計意図について『敷地が広くないので、ペンシルビルにならないよう、また浅草の風景に合うように屋根のある平屋を重ねるデザインを考えた』と説明されています。
私たちは基本設計の段階から参加しました。デザイナーの重視した“ルーフによる隙間”のニュアンスを実現するため、試行錯誤を重ねました。 『BUS』では、伏図やフレーム図が入力断面や寄り情報まで詳細に図化されます(BUSの伏図・フレーム図)。 構造図を作る感覚でスムーズに入力でき、操作しやすいと思います。 部材断面の入力も実際に使用する構造図通りの符号で登録できるので、表示・出力が図面と一致し簡明です。 また、軸組図や応力図、出力や検定比図などを同時に表示させながら作業でき(BUSの操作画面)、デザインに合った形状や断面を繰り返し検証する際には大変重宝しました。 出力では、伏図・軸組図・断面リストがグラフィックで表現されるので(出力例)、そのままデザイナーとのディスカッション資料として使用できました。
今回は、構造システムの関連ソフトである基礎・杭・地盤の一連計算ソフト『BUS-基礎構造』やRC/SRC造はり・柱断面リスト図面作成ソフト『BUS-断面リスト』なども併用しました。 一貫構造計算だけでなく、2次部材や躯体コストを見据えた検証が短時間で何パターンも行え、より効率的に設計できたと思います。 また、任意形状立体フレームの弾性応力解析ソフト『FAP-3』は、『BUS』から手を加えずにデータを転送して3D表示できるので、形状の確認や基本設計時のプレゼンテーション(構造パース)に活用しました。
多角的な検証を重ねることで、最終的には意匠デザインを極力損なわない断面構成が得られたと思います。」

BUSの伏図・フレーム図

BUSの伏図・フレーム図

BUSの操作画面

BUSの操作画面

出力例

出力例


複雑な形状でも建築基準法に基づいた計算が可能

「私たちは、意匠設計の複雑な要望に対して、いかに簡潔なモデル化で実現させるかということを常に考えています。 その点で、自由度が高い『BUS』は非常に便利です。 立体解析で応力計算や保有水平耐力計算が行えますし、任意軸を用いることで複雑なモデルも作成できます。 法規に基づいた断面算定・保有水平耐力計算を含んだ一貫構造計算が行えますので、効率的に設計できています。 丁寧なサポート対応にも満足していますし、何より申請用としてソフトへの信用があります。
今後の要望としては、3D表示機能の向上を期待しています。 現在は線材モデルによる3D表示のみですので、断面形状による3D化ができるといいですね。
今後のさらなる機能向上に期待しています。」

□ 浅草文化観光センター
  設 計:隈研吾建築都市設計事務所
  施 工:フジタ・大雄特定建築工事共同企業体
  所在地:東京都台東区雷門2-18-9

□ 掲載誌
  GA Japan 116
  新建築 2012年5月号
  日経アーキテクチュア 2012年6月10日号


CADと連携したデータ作成と自由な形状への対応

後継ソフトの「構造モデラー+NBUS7」は、「CADファイルからの入力」で通り心・階数・階高情報が取得できるだけではなく、各階平面図からの部材(柱・壁・雑壁)の自動生成、柱間のはり・基礎はりの作成で一段と入力操作が簡単になります。
また、 中間階やスキップフロアがある場合など、階数を調整したい場合はダミー階を設定できます。ダミー階は偏心率、剛性率、層間変形角など耐震性能の計算対象から外すことができます。

「構造モデラー+NBUS7」の機能紹介 



自在な形状から構造モデルを自動生成




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