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複雑な伝統構造に柔軟に応える解析の最適解

事例レポート

複雑な伝統構造に柔軟に応える解析の最適解
- 「やりたいことをモデル化できる」微細な調整と高度な解析で設計者の意図を具現化 -

一般財団法人 建築研究協会は、文化財・文化遺産の調査研究と助成、文化財建造物・社寺建築などの保存・修理・復元・活用・耐震・防災事業の設計監理、公共施設・文教施設の設計監理などを行う機関です。
業務で「SNAP」を使用されている宅間健人氏にお話を伺いました。

触れずに補強するという難題

宅間 健人 氏
一般財団法人 建築研究協会
伝統建築部門
主任研究員
宅間 健人タクマ ケント
一般財団法人 建築研究協会
創立
1955年
所在地
京都府京都市左京区田中関田町43
URL
http://kenkyo.org/

― 宅間様の業務内容と、建築研究協会様の業務全般を教えてください。

宅間氏 建築研究協会としては、文化財建造物の保存修理の設計監理や耐震診断、補強設計、防災設備の設計をしてます。 あとは、社寺建築の新築もやっています。
私の業務としては、耐震診断や補強設計を担当させていただいています。 主に文化財建造物なので、お寺や神社、最近は洋館や塔、文化財の木造の民家などですね。 文化財としては、有名な寺院の本堂や神社の本殿はちょっと落ち着いてきた気がします。 近代建築、レンガ造や洋館、RC造の建築物などもだんだん文化財になりつつあるので。 少し時代が新しい建物も増えてきています。

― 宅間様の視点から、解析ソフトで一番求められるポイントはどういったところですか?

宅間氏 文化財建造物はイレギュラーなことが結構多いので、そういったところに柔軟に対応できるところでしょうか。 かなり増改築されていて複雑な平面とか立面になってるような建物が多いので、そういったところに対応できるのが、一番必要なところかと思います。

― 文化財はやはり触れない部材があったり、補強するにしてもかなり限定的になってくることが多いんですか?

宅間氏 基本的には既存部材を大きく触らず新しく補強部材を足すことで対応することが多いですね。 大胆に壁を取り替えるなど、そういうことはできないことが多いです。 部材そのものが文化財として評価されていたりするので、部材そのものも尊重しつつ、補強を検討していくというところが、少し難しいところではあります。
基本的に線材置換できるようなものは「SNAP」で対応していて、レンガ造などは有限要素法に対応した他社ソフトを使って解析しています。 最近はレンガ造建物の耐震診断も増えてきていますね。

― 補強検討を進める中で、免震装置や制振装置を扱う場面も出てきますか?

宅間氏 あります。 この前、免震を少し検討させてもらいました。 既にデータに入ってたものを使用させていただいたこともあり、不便という印象はなかったですね。

懸造の寺院本堂の解析モデル(全体図)

懸造の寺院本堂の解析モデル(全体図)


伝統的木造建築の特殊な挙動を直感的にモデル化できる高い操作性が魅力

― 「SNAP」の操作性は、どのような印象を持たれていますか?

宅間氏 会社に入ってから本格的に使い始めましたが、一応大学院の時にも少し触れました。 木造関係の研究室にいたので、接合部のモデル化の方法を教えていただいたりしました。
比較的、やりたいことをモデル化・計算できるソフトだと思ってます。 操作的にもそんなに複雑ではないし、インターフェースが見にくいということもないと思います。
基本的に要素としてはその他の構造種別として入力し、接合部も木造建物をモデル化する際には、詳細に設定しているのですが、特に復元力特性の設定はかなり自由度が高く、解析手法も多機能でいいなと思っています。 他の話を聞いてると、負勾配が入られなかったり荷重増分でしか解析できなかったり制約があったりしますが、そういったところをクリアできてるところが、解析上有利なのかなと思ってます。

― 傾斜復元力やかなり特殊なモデル化などは、日常的に行われているのですか?

宅間氏 そうですね、傾斜復元力もかなり使いますし、接合部、貫や、木造のめり込みを反映させるようなモデルなども日常的に使ってますね。
伝統木造には使いやすいソフトだと思っています。

懸造の寺院本堂の解析モデル(軸組図)

懸造の寺院本堂の解析モデル(軸組図)


複雑な文化財を現実的な手順で解析できる

― モデルを入れるときはCADを読み込む機能もありますが、座標の入力の仕方など、その辺りで工夫されてることはありますか?

宅間氏 CAD上で軸組図を一旦作成して、それを立ち上げて「DRA-CAD」の中で完全に3Dにしてから取り込んでいます。 まずCADで整理するほうがやりやすいんじゃないかと思って、そのやり方でやっていますね。

― 耐震診断なので、やはりまずは図面が先行してできるようなプロジェクトの流れですか。

宅間氏 はい。 図面作成のために調査に入りまして、軸組図と伏図等々を作成してからモデルを組んでいくという流れですね。

― 「SNAP」で一番よく使う機能は何ですか?

宅間氏 物件としては増分解析して限界耐力計算をするのが多いですね。 ただ、複雑なものは時刻歴応答解析まで対応するものも2割くらいはあります。
増改築が重ねられてたり、色々な建物が連なっていたりするので、時刻歴応答解析をした方が実情に合っていそうな建物に対してはそうしていますね。 あとは三重塔なども耐震診断でできますので、そういった塔状のものに関しても、時刻歴応答解析で耐震診断をしています。

― やはり伝統工法になってくると接合部が非常に複雑で、種類も多岐にわたると思いますが、そういったところはモデル化のノウハウをたくさん積み重ねているのですね。

宅間氏 そうですね、建築学会の資料や論文等々から計算式を作って、Excel上で計算できるようには、積み重ねていっています。

― 一般的な基準書があって計算式が乗るようなものより、そこから外れることのほうが非常に多いかと思いますが、案件によって判断されているのですか?

宅間氏 そうですね。あと基本的に耐震診断だと接合部とかの状況が分からないことが多いので、その中でどこまでどう評価すべきか、というのは、その都度物件ごとに検討しながらやっていってます。
見えなかったり、見えていてもなかなか工学的な評価が難しいというのは、多いですね。

― そういった物件を扱う中で「SNAP」でよかった点というと、復元力の種類などでしょうか。

宅間氏 そうですね。 少し剛性評価したいとか降伏させたいとか、そういったちょっとした調整のようなことがやりやすいと思いますね。

― 解析結果を確認される中で、グラフィカルな出力に関してはいかがですか?

宅間氏 説明資料等に応力図を貼ったりするのが、なんか、いまいち綺麗に貼れないというか。 計算書という形で最終的にまとめる中で、応力図などをコピーしてWord上に貼り付けるんですが、それがあまり綺麗じゃないな、と思っています。 文化財建造物って最終的に修理工事報告書という冊子にまとめて発行するのですが、そういった時にも「もうちょっと画像綺麗になりませんか?」と言われたりはしますね。

― そういったところでご負担をかけてしまっているのですね。改善できるよう努めてまいります。


基本的にはマニュアルを見ながら問題なく使用できている

― 弊社のサポートセンターなどは利用されていますか?

宅間氏 どうしても何ともならないところはサポートに問い合わせて教えていただいていますので、困って何もできないみたい、ということは今のところないです。 基本的にマニュアルを見ながらやっていけばなんとかなっています。

― 「SNAP」の解析スピードについてはどんな感想をお持ちですか?

宅間氏 やはり、応答解析をすると時間かかる印象はありますね。 物件によりますが1日2日回しっぱなしや、もっと長い時もあるので、そこが早く終わればスムーズに業務が進むというのは、常日頃思ってます。

― そういったご要望は、非常に多いです。前向きに検討しますので、引き続きよろしくお願いいたします。

― お話を聞かせていただき、ありがとうございました。



高度な解析をより高速に解かりやすく

SNAP」は、任意形状の構造物に対する部材レベルの弾塑性の動的応答解析、応力解析、増分解析を行います。 優れた操作性と高度な解析機能を備え、データ入力から解析結果の表示・出力まで、スピーディーに行えます。
64ビットアプリケーションのため解析を行う構造物の規模・データに制限はなく、マルチコアCPUを活用して複雑な構造物を高速で計算します。
豊富な自動計算機能により効率よく解析モデルを作成し、多彩な出力機能により解析結果を視覚的に把握できます。
超高層建物、制振構造、免震構造や木造など各種構造物の設計や耐震診断・補強に対応できる機能を備えています。

「SNAP」の機能紹介 



高度な解析性能と優れた操作性の調和




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