太陽電池モジュール(太陽光パネル)用架台の構造計算
FAP-3を使用し、参考資料「『太陽光発電システムの設計と施工』太陽光発電協会 編」の計算例を解析しました。
ここで使用するデータは体験版にもサンプルデータとして収録しています。
架台の概要
以下の様な架台の構造計算を行います。

側面図(構造計算モデル)

A-A' 断面図

側面図(取付ボルト位置)

背面図
架台の接合状態
太陽電池モジュールと架台の接合の状態です。
モジュールのフレームと架台の主材をボルトを使用し、4箇所で接合します。

太陽電池モジュール:6
外形寸法:1657 x 858 x 46mm
質量:16kg
架台の解析モデル・応力図
FAP-3で作成した、太陽電池モジュールのモデル図および応力図を示します。

モデル図

応力図
荷重条件
次の条件で各荷重を考えます。
設置環境 |
東京都文京区 海抜(ls)20m 海率(rs)約30% 事務所ビル屋上(陸屋根) 地上高さ13.7m |
太陽電池モジュール |
面積1.4217m²(1657 × 858) 質量16kg(1枚当り) 傾斜角36度 枚数6枚 |
用途係数 ( I ) | 1.0 |
地表面粗度区分 | IV(Zb=10m、ZG=550m、α=0.27) |
設計用基準風速 ( V0 ) | 34m(東京23区) |
地震地域係数 ( Z ) | 1.0 |
固定荷重( G ) |
156.91N(モジュール1枚あたり 16kg × 9.80665(重力加速度)) (架台を構成する部材による荷重はFAP-3で自動計算します) |
風圧荷重( W = CW × q × AW ) |
正圧側 : 1133.337N(モジュール1枚あたり) 負圧側 : 893.637N(モジュール1枚あたり) |
CW : 風力係数 |
正圧側 : 0.974( = 0.65+0.0090 × 36度) 負圧側 : 0.768( = 0.71 + 0.0016 × 36度 ) |
q : 設計速度圧( = 0.6 × V02 × E × I ) |
818.45( = 0.6 × 342 × 1.18 × 1.0 ) |
AW : 受風面積 |
1.4217 (m²) |
積雪荷重( S = CS × P × ZS × AS ) |
479.731N(モジュール1枚あたり) |
CS : 勾配係数( = ( cos(1.5 × θ ) )1/2 ) |
0.7667( = ( cos(1.5 × 36 ) )1/2 ) |
P : 雪の平均単位荷重 |
20(N/cm・m²) |
ZS : 地上垂直積雪量( ZS = α × lS + β × rS + γ ) |
0.272( m:= 0.0005 × 20 - 0.06 × 0.3 + 0.28 ) |
AS : 積雪面積(モジュールの水平投影面積) |
1.1502 ( m² : = 1.4217 × cos( 36 ) ) |
地震荷重( K = k × G ) |
156.91N (モジュール1枚あたり) (架台を構成する部材による荷重はFAP-3で自動計算します) |
k : 設計用水平震度( ≧ 1.0 × Z × I:建物に緊結している場合) |
k≧1.0( = 1.0 × 1.0 × 1.0 ) |
データの作成
FAP-3で入力を行います。
1. 材料・拘束・部材断面の入力
グリッドシートを使用して、材料・拘束・部材断面を定義します。
1. 材料を入力します

2. 拘束条件を入力します

3. 部材断面を入力します

断面寸法は、弊社データベース( k-DB )を使用して、入力することができます。
2. モデルの作成
フレームを作成・複写して、架台を作成します。
1. フレーム作成をします
節点1~10を配置し、部材を作成します。

2. 複写・荷重配置をします(1モジュール)
1を複写することで、節点11~20の部材および荷重を配置します。

3. 複写します(2モジュール)
2の1モジュールを同様に複写し、部材および荷重を配置します。

4. 架台の完成をします
残りの部材を追加して、架台は完成です。

3. 荷重の入力
グリッドシートを使用して、荷重を設定します。
モデル図上で直接節点や部材を指定して入力することもできます。
モジュールとフレームは4箇所で接続していますので、各載荷点には、荷重条件で求めた値の1/4を入力します。
1. 節点荷重を入力します
風圧荷重はモジュール面に直交するため、Y・Z方向の分力で入力します。

2. 部材荷重を入力します
部材荷重はモジュール面に直交するため、部材座標系Z軸で入力します。

荷重名称
GP: | モジュールの固定荷重 |
S: | 積雪荷重 |
WPP: | モジュールの風圧荷重(正圧) |
WPN: | モジュールの風圧荷重(負圧) |
KXP: | モジュールのX方向地震荷重 |
KYP: | モジュールのY方向地震荷重 |
4. 架台構成部材の荷重設定
応力解析の計算条件を設定します。
架構構成部材の自重を計算するために、荷重名を入力します。

荷重名称
GF: | フレームの固定荷重 |
KXF: | フレームのX方向地震荷重 |
KYF: | フレームのY方向地震荷重 |
5. 荷重の組合せの設定
必要な荷重の組合せを荷重ケースで設定します。

荷重条件 | 名称 | ||
長期 | 常時 | G | |
短期 | 積雪時 | G+S | |
暴風時 | 正圧 | G+WP | |
負圧 | G+WN | ||
地震時 | X方向 | G+KX | |
Y方向 | G+KY |
組み合わせ係数
GF: | フレームの固定荷重 |
KXF: | フレームのX方向地震荷重 |
KYF: | フレームのYt方向地震荷重 |
GP: | モジュールの固定荷重 |
KXP: | モジュールのX方向地震荷重 |
KYP: | モジュールのY方向地震荷重 |
S: | 積雪荷重 |
WPN: | モジュールの風圧荷重(負圧) |
WPP: | モジュールの風圧荷重(正圧) |
6. 計算の実行
応力解析ツールバーを使用して、計算の実行・確認を行います。
応力解析コマンド

- ① 計算準備
- ② 計算
- ③ 計算結果(テキスト)
- ④ 応力図・変位図
1. 計算準備、計算を行い各部材の応力を求めます
「① 計算準備」を実行して、入力したデータのエラーの有無を確認します。
問題が無ければ、「② 計算」を実行します。
2. 計算結果のテキストを出力します
応力解析後に、「③ 計算結果(テキスト)」を実行します。

3. 計算結果の応力図・変位図を出力します
「④ 応力図・変位図」を実行して、応力図・変位図を出力します。

応力図

変位図