開発コラム ライトの設定 平行光源の実例
  • Last Updated 2013/05/01

開発コラム 平行光源の実例 (ライトの設定)

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平行光源とは


無限遠から指定された方向に光束を放つ光源を平行光源と呼びます。
平行光源には3つの特長があります。
1.光束が平行である
2.レンダリングの対象となるモデル全体に影響を及ぼす(光源が無限遠であるため)
3.減衰が無い(光源が無限遠であるため、減衰は指定できない)
上記の理由から、基本的には太陽光や月光の様な天体からの直射光のシミュレートに使います。
平行光源の代表的なものとして「日中の自然光」があります。
「日中の自然光」は「昼光」と呼ばれ「直射光(日光)」「天空光(空光、曇天光)」に分けられます。
他に昼光を地面等が反射して対象を照らす反射日射もあります。


平行光源のモデル図

本ページのレンダリング例には以下のモデルを使いました。
拡大
左側の窓から直射光と天空光が、右側の窓からは天空光のみが差し込んでいると想定しています。
この場合の光源(太陽)の方向は時刻、季節等で決まります。
特に指定が無い限り、光源の各パラメータは初期値のままで、材質の環境光は0.0に設定しています。
モデルの各点の表色の求め方は 「平行光源の計算式」を参照して下さい。


平行光源の使い方

ここでは以下の3項目に分けて平行光源の使い方を紹介します。
●直接光だけの表現:平行光源で強度だけを変え、光の状態がどう変わるかを示します。
●間接光の表現:平行光源に環境光や影係数の効果を加える事で間接光がどう表現されるかを示します。
●季節、時間の表現:実際の陽射しを表現するための習作として夕景と夏日の表現を試みます。


直接光だけの表現

最初は直射光だけを設定します。
以下の例のように、直射光の強度を変えても光が当たらない部分は真暗になります。
これは間接光が設定されていないためです。
●直射光(強度のパラメータを変える)

強度

0.5

1.0

2.0


間接光の表現

ここではいくつかの方法で間接光の効果を表現してみます。
(以下の例では直射光の強度は1.0に固定してあります。)
1.環境光を使う

オブジェクトの材質に環境光を設定する事で光が当たらない物体もある程度見えるようになります。
ただし、環境光は
「当たっている光の強さに係わらず一定割合で物体が見える(光を発している)様にする」
という考え方ですので直射光の当たらない部分の明暗は単調になります。

2.環境光を使う(材質によって値を変える)

材質によって値を変える方法に関しては スポット光源の実例 を参照してください。

3.影係数を変える

「光が物体をある程度透過する」と設定する事で影になった物体にも光を当てることで表面の明暗に変化をつけます。
これは実際の明暗の状態とは異なりますがそれなりに効果があります。
下の例の椅子の脚の影になった部分を観察してみて下さい。

●環境光と影係数による間接光のシミュレート

環境光

全ての材質:0.0

全ての材質:0.3

影係数

1.0

0.8


4.補助光源を使う。

窓からは直射光だけでなく天空光も入ってきます。
天空光は太陽光が大気で散乱する事により天空全体から送られてくる光です。
天空光も間接光の1つです。
この例では窓から入ってくる天空光を(地表方向からの天空光は少ないと考えて)窓の中央やや上を光源とする弱い点光源で代用してみます。
個数は各窓に1個配置と各窓に4個配置の2通り設定してみました。
4個配置したのは影をぼやけさせるためです。
光源の位置は 平行光源のモデル図 を参照して下さい。
点光源の設定は
1個の場合、強度:0.3、減衰率:kc=1.0,kl=0.0001,kq=0.0、
4個の場合、強度:0.1、減衰率:kc=1.0,kl=0.0005,kq=0.0、
影係数はそれぞれ 0.3 と 0.1 の2通りとしています。


●補助光源による間接光のシミュレート

直射光設定(環境光:0.3, 影係数:1.0)

窓毎の補助光源の個数

1個

4個

影係数

0.3

0.1

実際には、天空光の輝度分布は天空中の位置や天候によって変わりますので、
点光源では完全なシミュレートは出来ませんが見かけ上はそれほど問題にはなりません。


季節、時間の表現(習作)

前の項の「補助光源を使う」で検証した「各窓に1点の点光源を配置する」設定を使って、季節、時間を表現してみます。
具体的には、直射光、間接光、環境光の色や強さ等を制御して季節、時間の特長を演出します。
1.夕暮れを表現する

時刻にもよりますが、夕暮れは天空の方が太陽の直射光より紅く染まっています。
今回の作例では、間接光(天空光)である点光源を橙色に、直射光を淡い黄色に設定してみました。


設 定

光の色


影係数


強 度


直射光

255

255

213

1.0

0.5

間接光

221

94

34

0.3

0.3

環境光

全ての材質で0.0


2.夏の日陰を表現する

晴天時の天空光は天空の色を反映して青色を帯びています。
夏は陽射しが強い分、天空が明るいため、天空光を受けている日影は青みがかって見えます。
今回の作例では、間接光(天空光)である点光源を淡い青色に、直射光をごく淡い黄色に設定してみました。
また、強い陽射しの表現としてハレーションを起させるため、直射光の強度を大きくしています。


設 定

光の色


影係数


強度


直射光

255

255

250

1.0

2.5

間接光

210

210

255

0.15

0.3

環境光

全ての材質で0.3


参考資料

平行光源の計算式
平行光源のパラメータ

注:本コラムはDRA-CAD11 Ver.11.0.1.7 時点での機能を紹介しています。
その後のバージョンでは変更されている場合もありますのでご了承ください。