コラム 耐震診断について
  • Last Updated 2011/05/12

開発コラム  耐震診断について

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耐震診断と耐震補強

住宅やビルが地震に対してどの程度被害を受けにくいかといった地震に対する強さ、すなわち「耐震性能」を調べるのが「耐震診断」です。
阪神・淡路大震災の教訓をもとに1995年12月25 日に「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」が施行されました。
この中では現在の新耐震基準を満たさない建築物について積極的に「耐震診断」や改修を進めることとされています。
建物の耐震性能とは、地震のエネルギーを吸収できる能力のことで、建物の強さと粘りに、建物の形状と経年状況を考慮して決められます。
耐震診断の結果が安全の判定基準を下回る建物には、建物の耐震性能を向上させるために耐震補強が必要になります。


耐震診断の種類

種類

別称

内容

1次診断

簡易診断

比較的壁の多い低層の建物で実施され、柱と壁の量から強度を算出し診断します。

2次診断

詳細診断

柱と壁の強度や靱性(ねばり)から、耐震性を算出します。
通常は6階建て以下の建物で実施されますが、10階建程度まで認められる場合があります。

3次診断

精密診断

柱・壁・梁・基礎の全て要素から、強度や靱性を元に、高精度で算出します。
高層建物には3次診断が推奨されます。


耐震診断の流れ

一般的に耐震診断は以下のような流れになります。


耐震診断を行うのが望ましい建物

分類

具体例

古い建物

昭和55年(1980年)以前の建物・・・特に昭和45年(1970年)以前
経年劣化が著しいと思われる建物

バランスの悪い建物

平面の形状が不整形な建物
ピロティ形式又は大きな吹き抜けがある建物
壁、窓の配置が偏っている建物
特定の階に壁が少ない建物
混合構造の建物(例:下部SRC造、上部RC造)

不特定多数の人が利用する建物や災害時に機能維持が必要な建物

商業施設(デパート、スーパーマーケット等)
教育施設(幼稚園、学校等)
医療施設(病院、診療所等)
官庁施設(消防、警察等)

その他

地形・地盤の悪い所に建てられた建物
火災・爆風を受けた建物
歴史的に価値のある建物
防災拠点、避難拠点の建物
災害時に周囲へ被害を波及させるおそれのある建物
法的手続き(検査済証等)の取られていない建物
増改築に伴って既存不適格箇所が発生した建物


各種耐震診断に関する法令・指針等

出所

法令・指針等

特徴

耐震改修促進法

国土交通省告示第184号
耐震診断・改修に関する指針

梁・柱・壁の強さと粘りから建物の耐震性を推定する詳細な検討法
非構造部材,建築設備の診断も規定

(財)日本建築防災協会

既存鉄筋コンクリート造
建築物の耐震診断基準
既存鉄骨鉄筋コンクリート造
建築物の耐震診断基準

第1次診断法:建物重量と柱・壁の断面積等で簡略的に推定する検討方法

第2次診断法:柱・壁・コンクリート強度・鉄筋量等から建物の強さと粘りを推定する検討方法

第3次診断法:梁・柱・壁の強さと粘りから推定する詳細な検討方法

(財)日本建築防災協会

既存鉄骨造建築物の耐震診断および耐震改修指針

各部材の材料・幅厚比・横補剛間隔・仕口耐力・接合部耐力等から保有水平耐力と靭性指標を算定する方法

(財)日本建築防災協会

木造住宅の耐震精密診断

耐力壁の種類、配置、長さ等から推定する検討法

(財)日本建築防災協会

既存壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断指針

既存中低層壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物の、診断レベルにより異なる2段階の診断法で確認する耐震診断の方法

(財)日本建築防災協会

既存壁式鉄筋コンクリート造等の建築物の簡易耐震診断法

壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造の建築物の、規模及び構造、立地・敷地・地盤、平面形状、立面形状、コンクリート強度、経年劣化指標等について確認する耐震診断の方法

(財)建築保全センター

官庁施設の総合耐震診断基準

官庁施設は地震災害時の災害対策拠点施設としての機能求められ、入居する官署の特性に応じて、施設の構造体、建築非構造部材、建築設備それぞれについて保有すべき耐震安全性の目標を規定

文部科学省

公立学校施設に係る大規模地震対策関係法令

公立学校施設としての重要度係数を設定
鉄骨造の屋内運動場等の耐震性能診断基準も規定

文部科学省

屋内運動場等の耐震性能診断基準

鉄骨造の建築物の耐震診断方法を規定

(社)プレハブ建築協会

木質系工業化住宅の耐震診断法

木質系工業化住宅の耐震診断方法を規定

(社)プレハブ建築協会

鉄鋼系工業化住宅の耐震診断法

工業化住宅性能認定を受けた鉄鋼系工業化住宅の耐震診断方法を規定

(社)プレハブ建築協会

コンクリート系工業化住宅の耐震診断法

大型コンクリートパネル造、リブ付中型コンクリート造及び臥梁付中型コンクリート造の工業化住宅の耐震診断方法を規定

建築基準法

建築基準法施行令第3章

現行基準である新耐震設計法を準用する検討方法


構造システムと耐震診断

構造システムでは 耐震診断用プログラム利用者の会 を運営しており、以下の耐震診断プログラムをリリースしています。

プログラム名

内容

DOC-RC/SRC

RC/SRC 造建物の1次・2次耐震診断
http://www.kozo.co.jp/program/kozo/doc/doc-rcsrc/index.html

DOC-S

S造建物の耐震診断・耐震補強計算
http://www.kozo.co.jp/program/kozo/bus/doc-s.html

DOC-3次診断

RC/SRC造建物の3耐震診断およびRC/SRC/S造建物の総合耐震診断 http://www.kozo.co.jp/program/kozo/bus/doc-3.html

HOUSE-DOC

住宅シリーズ/木造建築物の耐震ドクター
http://www.kozo.co.jp/program/kozo/house/housedoc.html

各プログラムの詳細はそれぞれのホームページをご覧ください。

耐震診断用プログラム利用者の会では最新のプログラムの提供や法令などの情報やQ&A(質疑応答)などを提供しています。
また、耐震診断プログラムの活用セミナーや講習会を随時開催しています。