
■新体制による建築DXの加速と社会的使命
2026年4月1日、構造システムと建築ピボットは経営統合した。長年培われた高度な構造解析技術と、意匠・法規・CAD/BIM図形処理技術を融合したトータルソリューション・プロバイダーとして、新生「構造システム」が始動した。
■構造計算とBIMのデータ連携がもたらす、設計初期段階の「質」の向上
本稿では、一貫構造計算ソフト「構造モデラー+NBUS7」の開発計画と、建築企画・法適合確認BIMの統合設計環境を提供する「i-ARM」、さらに国産の建築設計CADである「DRA-CAD」とのデータ連携の現状について紹介する。設計初期において、意匠と構造の整合性を立体的に確認し、法適合性の検討を並行して行えることは、手戻りの抑制に向けた確かな一歩となる。BIM図面審査の時代を見据えると、計算根拠を伴った3Dモデルが即座に可視化される意義は大きく、構造計算・解析データからのデータ連携フローは、構造設計のフロントローディングを実現するための重要な基盤として活用されている。
■「構造モデラー+NBUS7」:操作画面(GUI)主導からデータ中心設計への転換
「構造モデラー+NBUS7」において「テキスト形式ファイルによるデータ入出力機能」および「バッチファイル処理」の実装を予定している。従来の構造計算ソフトは、高度な操作画面を備える一方で、データ構造が内部で完結する「ブラックボックス」となりやすい側面があった。
今回予定しているアップデートにより、建物データや計算条件のテキストベースでの入出力が可能となる。これは、設計データが「人間や生成AIが読み書き可能なオープンな情報」になることを意味する。さらに、バッチファイル処理の実装により、操作画面を介さずに外部プログラムから直接解析を実行し、結果抽出を自動化することが可能となる。これにより、数百パターンの部材選定を自動で行う最適化設計や、特定の条件に基づく自動モデル生成といった、エンジニアの「手」を介さない超効率的なワークフローが将来的には現実のものとなる。
■「i-ARM」:法適合確認機能を備えた簡易BIMソフト
建築企画BIM「i-ARM」は、設計初期段階における迅速な意思決定を強力にバックアップする。GISデータの統合による周辺環境の自動取得、さらには逆日影・逆天空率機能による建築可能ボリュームの瞬時算定は、土地活用の最大化と事業性の早期判断を約束する。
さらに、今年度より運用が開始された「BIM図面審査」に対しても、柔軟に対応できる機能を備えている。本製品はIFCデータの入出力を標準サポートしており、他社製BIMモデラーからのデータも汎用的に受け入れることで「法規のハブ」として確認申請図面の作成を支援する。3Dモデルベースの図面管理により、常に整合性の取れた設計図書作成を可能とし、設計変更に伴う手戻りを最小限に抑制する。

■「DRA-CAD」を核とした、無理のないBIM/構造連携の推進
BIM化の流れが加速する中、実務の最前線では依然として2D-CADによる精緻な図面作成が重要な役割を担っている。「構造モデラー+NBUS7」では、解析モデルを2D-CADデータとして効率的に図面化する機能である「構造モデラー+伏図・軸組図」および「構造モデラー+断面リスト」が、オプション機能ではなく、全ユーザーが使用可能な標準機能としてすでに搭載・公開されている。計算モデルから生成された部材情報を「DRA-CAD」上で編集・加工するフローは、従来の操作感を維持しながら、計算根拠を伴った情報を図面に反映できる強みを持つ。
今後は、CAD・BIM・構造計算ソフトを同一企業内で開発・提供できる独自の体制を活かし、各ソフトウェア間のデータの「断絶」を解消していく。単なるファイル変換に留まらず、設計・計算から図面作成までをシームレスに繋ぐプラットフォームを構築することで、将来的な「i-ARM」によるBIM運用をも見据えた、高精度かつ高効率な一貫設計環境の実現を強力に推進していく。
■鋼構造DXの未来:AI活用とデジタル・スレッドの構築
テキスト形式ファイルベースのデータ構造は、生成AIやパラメトリックデザインツールとの親和性が極めて高い。設計者の指示をテキスト解析し、最適な構造フレームを「NBUS7」で自動生成・解析する「AI設計アシスタント」の構築も射程圏内に入る。また、鉄骨製作専用CADや外部BIMソフトウエアに対しても、テキストデータを介したオープンな連携経路を提供することで、設計・解析・製作の全工程において情報の欠落がない「デジタル・スレッド(データの糸)」を構築する。これは、不透明なデータ変換によるロスを排除し、鋼構造建築における真の「一気通貫」を実現するものである。
■結び:エンジニアをクリエイティブな判断へ解き放つ
新生「構造システム」が提供するのは、単なるソフトウエアではなく、エンジニアが単純作業から解放され、より高度な工学的判断に集中できる「環境」である。特に、2026年8月の「構造モデラー+NBUS7」の機能実装は、今後のデータ連携を支える不可欠な技術となる。私たちは、ユーザーと共に鋼構造建築の未来を創造するパートナーとして、歩みを止めることはない。
株式会社 構造システム
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「構造モデラー+NBUS7」は、構造躯体を入力する構造設計プラットフォームである「構造モデラー」と、解析・結果出力を担う一貫構造計算システム「+NBUS7」に内部構造を分離した、統合設計環境です。
i-ARMは建築の企画・基本設計の段階でデザイン検討から法適合確認、設計図書作成が可能な3次元の建築設計ソフトウェアです。
DRA-CADは、直感的な操作性と高いカスタマイズ性で設計者に応える国産の建築設計CADです。
デザイン、シミュレーション、プレゼンテーション、基本設計、実施設計、申請、施工図作成、維持管理関連業務など、建築の企画から生産、運用までのあらゆる場面をカバーし、さまざまな業種、職種の方々にご利用いただける設計支援ソフトウェアです。
解析ソフトで、図面の断面表の情報を入力する場合、断面の寸法や名称、配筋等、一つ一つ入力していくことになります。この作業は、結構な時間がかかりますよね。この面倒な作業を、AIの『Gemini』を使用し、断面表の画像データから、解析ソフトSNAPの断面情報のテキストデータを作成し、入力の手間を省く方法を紹介します。
SNAPのバッチ処理の機能を使用し、pythonとの連携の2回目ということで前回と同様の建物で、遺伝的アルゴリズムによる最適化によりダンパー配置を検討した事例を紹介します。