BUS−2.5 Q&A集
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Q.417

フレームのはり、柱の傾斜や平面的なフレームの傾きが15゚を越えた場合は、
どのような処置を考えればよいですか?
 

A.

(a) はりの傾斜について
  応力解析は、はりの軸力を無視する以外材の傾斜や材長の変化は考慮の対
  象としています。また特に指定がなければ、剛床の仮定をとっており、同
  一層の各節点の水平変位は等しくひとつの値を取り、各節点間に相対変位
  は生じないものとしています。
  したがって、水平力による応力計算結果は、はりに発生する軸力を無視し
  ている以外は特に検討を要する点はありません。
  しかし、図417-aのような骨組に鉛直荷重が作用した場合はB、Dの位置に
  はり軸方向力の水平分力(H1,H2)により生じるはずの変位が考慮されま
  せん。このような骨組ではB、D点を剛床の対象からはずして下さい(入
  力編FCDレコード参照)。
  この件については、「Q.422」にも解説してありますので、参照して
  下さい。
 
 

 
図417-a はり傾斜のフレーム
 
(b) 柱の傾斜
 (イ) 面内に傾斜している場合
  @ はり同様、材の傾斜や材長の変化は考慮の対象としています。柱の
    自重は材軸方向のみに作用させています。傾斜が大きくなると、自
    重によるC、Mo、Qoが生じますから、この荷重を柱部材荷重とし
    て作用させることを検討して下さい。
  A 応力計算結果の柱せん断力以外に柱軸方向力の水平分力が傾斜の度
    合に応じて柱脚仕口部に作用しますが、断面計算ではこの水平分力
    を考慮していません。
 (ロ) 面外に傾斜している場合
   面外に傾斜している柱の応力計算(図417-bの矢印の方向)は、傾斜し
   た柱ABを鉛直にした状態AB'で行います。柱の剛度計算には実長を
   用います。解析フレームの水平剛性はAB'C'D面内にあるとしてい
   ます。
   実際はABCD面内にあるわけですから、この面内の位置に指定しな
   おす必要があります。
   たとえば柱頭、柱脚の中間点と想定して、その位置にFAXレコード
   で指定できます。どの位置に指定するかで、剛心の計算に影響します。
 
 

 
図417-b 傾斜フレーム
 
 

 
図417-c 傾斜軸のある平面

(c) 平面的なフレームの傾斜
 (イ) 傾斜軸のC、Mo、Qo
   図417-cに示すようにC、Mo、Qo はまず、傾斜軸ADの中点を通る
   長方形A'BCD'に直して計算します。求めた数値に
 

 
 
   の値をそれぞれα1,α2,α3,α4 とすると、C、Moについてはα1
   〜4の2乗を、Qoについてはα1〜4の値を乗じたものをそれぞれC、
   Mo、Qoとします。この計算法では不適当と思われる場合は、はり特殊
   荷重で増減できます。
   なおこの計算法によると、地震荷重は一般に実際より大きめになりま
   す。
 (ロ) 傾斜軸の負担水平力
   101フレームが基準軸の方向にPの水平力を負担すると、θの傾斜があ
   ることにより、実際の101フレームは P1=P/cosθの水平力を負担
   します。この場合、101フレームを構成する柱には直交方向の分力 P2
   =P1sinθを考慮していません。
   101フレームの剛度についても、 同様に直交方向についての考慮はし
   ません。