建築の今と未来を考える ~ デジタル技術の活用とサステナブルな社会を目指して ~
日本の建築業界を取り巻く様々な課題、新型コロナウイルス感染症の影響も含め、サステナブルな社会を目指す中で私たちが取り組むべき諸問題を考えたいと思います。
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開会あいさつ
安田 正弘 株式会社構造システム 代表取締役社長
グループビジョン
千葉 貴史 株式会社建築ピボット 代表取締役社長
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基調講演13:30 - 14:30
申込み
ガウディのサグラダ・ファミリアができるまで
~ 構造エンジニアリングの未来とデジタル ~
Arup 60年の歴史を振り返り、シドニーオペラハウスからサグラダ・ファミリアに至る軌跡を話します。
バルセロナを代表するランドマーク、サグラダ・ファミリアは、1882年に着工し、現在も建設が続けられています。
この設計は、アントニ・ガウディが1926年に亡くなるまでの43年間、バシリカ様式教会の設計を練り上げた生涯の仕事です。
カーフレー氏は、サグラダ・ファミリア財団と2BMFGを支援し、現在の工事段階における構造工学の専門的なアドバイスを行っています。
講演では、教会の建築デザインの歴史について概説した後、バシリカの最高部にある6つの主塔の構造設計と建設に焦点を当てます。
ガウディが構想した幻想的な石造建築を実現するために、大聖堂の残りの40%にあたるこの段階でのエンジニアリング上の主な課題について説明します。
また、最先端の構造工学とデジタルファブリケーションにより、ガウディが想像もしなかった方法で、プレストレス石材パネル化技術を実現し、ガウディの驚くべき創造的才能を実現した方法についても説明します。
ビデオ上映(日本語字幕付き)
オンデマンド配信有り
サステナビリティ
DX
構造
Tristram Carfrae 氏 トリストラム カーフレー
Arup副社長 / Arupフェロー
職業
構造エンジニア
現職
副社長
アラップフェロー
アラップ社入社
1981
取得資格
英国ケンブリッジ大学大学院修士課程機械科学専攻修了
所属団体
英国王立産業デザイナー協会マスター
英国王立芸術・製造・商業奨励会フェロー
英国王立工学アカデミー フェロー
オーストラリア技術科学・工学アカデミー フェロー
公認プロフェッショナルエンジニア
オーストラリア技術者協会、フェロー
英国技術者評議会公認エンジニア
英国構造技術者協会フェロー
ロイヤルデザイナー・フォー・インダストリー(RDI)
個人的な受賞歴
2018: IABSE国際賞(構造工学部門)功労賞
2014: 構造技術者協会ゴールドメダル
2009: グリーン時代のヒーロー」に選出、CoP15発表
2009: 英国王立工学アカデミー、マックロバート賞受賞
2008: ウォーレンセンター「Hero of Innovation
2006: ミルン・メダル、IABSE
2001: プロフェッショナル・エンジニア・オブ・ザ・イヤー、エンジニアズ・オーストラリア
トリストラム・カーフレー氏は、構造設計の第一人者です。
入社以来41年間、オーストラリアとイギリスの両方で、数々の受賞歴のある建築物の構造を担当してきました。
特に、エンジニアリングと建築を統合し、全体として最適なソリューションを提供することを得意としています。
また、建築構造が主要な美的要素を形成するプロジェクトにおいて、世界有数の建築家たちと仕事をする機会に恵まれてきました。
彼は、材料、エネルギー、時間、お金などの資源をより少なく消費し、より多くの喜びを与えてくれる、より良い建築物を設計することに揺るぎないこだわりを持っています。
これまでに、世界最高峰の構造賞である構造技術者協会の特別賞を受賞した6つの建築物の設計に携わりました。
カーフレー氏はArupの副社長であり、世界15,000人のスタッフのうち、53人のArup Fellowsの一人でもあります。
この称号は、革新とデザインにおけるArupの卓越した評判に大きく貢献した人を称えるもので、彼はこれを継続させる役割を持つリーダーとして指名されています。
2001年には「Australian Professional Engineer of the Year」に選ばれ、2004年、2005年、2006年には「Engineers Australia」から「オーストラリアで最も影響力のあるエンジニアトップ100」の一人に認定されました。
2006年には、王立芸術・製造・商業奨励協会(RSA)から、エンジニアリングデザインにおける功績が認められ、Royal Designer for Industry(RDI)の称号を授与されました。
また、国際橋梁構造工学協会(IABSE)の英国グループからは、デザイナーとしてのトリストラムの仕事と優れたデザインへの継続的な貢献が認められ、ミルンメダルを授与されています。
2008年には、ウォーレンセンターから「Hero of Innovation Award」を受賞しました。
また、コペンハーゲン15サミットのために印刷された出版物では、20人の「グリーン時代の英雄」の1人に選ばれています。
2014年には、構造エンジニア協会(IStructE)から栄誉あるゴールドメダル賞を受賞しました。この賞は、科学と構造工学の専門職に対する卓越した貢献を評価するものです。
2018年には、IABSEの42年の歴史の中で、英国人として4人目となるInternational Award of Merit in Structural Engineeringを受賞しました。
2018年から19年にかけて、彼は王立産業デザイナー学部のマスターを務めました。
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特別セミナー114:45 - 15:25
申込み
三菱地所グループの国産材活用に向けた新たな取組
~ 木造木質化事業で、まちともりの架け橋に ~
2016年4月に三菱地所株式会社内の新規事業提案制度を活用しCLTユニット(現CLT WOOD PROMOTIONユニット)を立ち上げました。
自社のアセット開発にCLTを取り入れる手法の研究開発、木材活用の事業化を目的としたR&Dユニットです。当時日本国内で高層建築初となるCLT-鉄骨ハイブリッド構造のマンションを建設し、空港やオフィスビル、商業施設、ホテルなどで木造化(CLT等木材利用)を実践してきました。
本講演会では、この実案件にてチャレンジしてきた内容および実案件を通して得られた課題を報告します。
またこの実案件から得られた課題を解決し、自社アセット開発での木材利用だけではなく、広く木材利用を普及推進していくことが可能となるよう製造から販売までを一気通貫で行う総合林業会社MEC Industry株式会社を設立しました。
MEC Industryの木材活用商品のテーマは特殊で限られた人しかできない木造化木質化技術ではなく、木質デザインをしたい人、木材利用を通じて環境貢献をしたい人、あらゆる人が気軽に建築物に木材利用を可能にする商品を提供することです。
本講演会ではその一部も紹介します。
オンデマンド配信有り
サステナビリティ
構造
木質構造
海老澤 渉 氏 エビサワ ワタル
株式会社三菱地所設計 R&D推進部 木質建築推進室 兼務 三菱地所 兼務 MEC Industry
1982年 東京生まれ
2007年 三菱地所設計入社 構造設計部配属
2016年 三菱地所 住宅業務企画部CLTユニット(現 関連事業推進室CLT WOOD PROMOTIONユニット)設立、兼務
2020年 MEC Industry設立、兼務
2021年 三菱地所設計R&D推進部内に木質建築推進室を設立し今に至る
設計者として「新宿イーストサイドスクエア」「JR博多シティ駅前広場大屋根」「マークイズみなとみらい木漏れ陽ルーフ」「明治大学中野キャンパス」「石田沢まちづくりセンター」などに携わり、事業者として木造木質化プロジェクト「PARK WOOD高森」「みやこ下地島空港ターミナル」「CLT PARK HARUMI」「ザロイヤルパークキャンバス札幌大通公園」などに携わる。
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特別セミナー215:30 - 16:10
申込み
戦略的なBIMデータ連携を目指して
BIM-ECコンソーシアムの活動報告を兼ねて
日本のBIMが本格化して十数年が経過した。今、国・企業・個人において、次の10年〜20年のBIMデータ活用のビジョン・戦略は明確になっているだろうか。
また、この課題をいかに自分に引き寄せれば良いのだろうか。私は日本における次の3つの「不在」の認識が、これを考える上での出発点だと思っている。
- ① 建築産業の生産性を高める為、BIMを情報のHubとし、データ連携のインフラを構築しようとする「戦略的意志の不在」
- ② 全国的な社会人及び大学生に対するBIMデータ連携の「専門教育の不在」
- ③ BIMデータ活用の場における「発注者・市民の不在」
当セミナーにおいては、これらの問題意識に基づき、単独企業として私たちが行なっているBIMデータ連携の事例、及び実証実験(PoC)に入ろうとしているBIM-ECコンソーシアムの5期目の現状を紹介する。
特にBIM-ECは(まだ道半ばではあるが)企業間連携・分類コード・IFC・情報化された共通仕様書等へとつながるBIMデータ連携の戦略に関わる試みでもある。
オンデマンド配信有り
DX
BIM
FM
生産性
関戸 博高 氏 セキド ヒロタカ
スターツコーポレーション株式会社 特別顧問/株式会社ユニークワークス 代表取締役社長
1973年 名古屋工業大学建築学科卒業後、設計事務所勤務。その後、関戸建築設計事務所 設立
1984年 スターツ株式会社 入社
2000年 同社 代表取締役社長
2005年 スターツコーポレーション株式会社 代表取締役副会長 兼 スターツCAM株式会社 代表取締役社長 その他、複数のグループ企業の社長等歴任
2018年 BIM-ECコンソーシアム設立 代表幹事(現任)
2020年 スターツコーポレーション株式会社 特別顧問(現任)/株式会社ユニークワークス 代表取締役社長(現任)
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特別セミナー316:15 - 16:55
申込み
建築と都市とコモングラウンド
情報次元に拡張する建築設計の専門性
建築や都市の設計において、情報次元の設計、特にデジタル空間記述領域の設計が担う価値や可能性が急速に高まっている。
一方、ほんの数年後には実装されているであろう技術や環境の設計において、建築界が新しい情報次元の設計ノウハウを十分に開発・共有できているとは言い難く、分野をまたいだ技術や知見、情報や産業の構造に関する理解を早急に深めることは、建築界全体の急務である。
コモングラウンドやインタースペースといった概念を軸に、今後建築や都市の設計がになうべき役割を解説する。
オンデマンド配信有り
DX
BIM
建築
IoT
デジタルツイン
メタバース
豊田 啓介 氏 トヨダ ケイスケ
建築家、東京大学生産技術研究所特任教授、noiz、gluon
1972年 生まれ
東京大学工学部建築学科卒業
安藤忠雄建築事務所を経て、コロンビア大学建築学部修士課程修了
SHoPArchitects(2002–06)を経て、2007年より東京と台北をベースに建築デザイン事務所noizを共同で立ち上げる。
コンピューテーショナルデザインを積極的に取り入れた設計・製作・研究・コンサルティングなどの活動を、建築からプロダクト、都市、ファッションなど、多分野横断型で展開している。
2020年よりコモングラウンド・リビングラボのアドバイザーと建築情報学会の副会長に就任
2020年より東京大学生産技術研究所客員教授、2021年より同特任教授
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クロージング
柴田 英昭 株式会社FMシステム 代表取締役社長