コラム 太陽光発電システムはお得なの?・・・その①
  • Last Updated 2012/01/27

開発コラム  太陽光発電システムはお得なの?・・・その①

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新エネルギーの代表格 太陽光発電

現在の日本では、主に「水力発電」「火力発電」「原子力発電」を上手に組み合わせた方法で電気を供給しています。
加えて近年は、環境にやさしく資源枯渇の心配がない「新エネルギー」と呼ばれる発電方法が注目され、実用化されつつあります。
太陽光発電は、無限でクリーンな太陽光を利用した発電方法で、「新エネルギー」の代表格として大変期待されています。
また、建築の世界、特に住宅の設計では、省エネ・創エネの観点から太陽光発電の検討が必須になりつつあります。
このような背景から、アソシエイト会員専用プログラムとして 「太陽光発電システム電力計算プログラム」を開発しました。


太陽光発電システムの知りたいところ

「太陽光発電システム電力計算プログラム」の開発中から一番気になっていたのが 「本当は得なの?損なの?」 という疑問でした。
「太陽光発電システムを設置したのはよいけれど、イニシャル・ランニングコストだけが増えてしまった。」
もしも、そうなると、設置すること自体に疑問符がついてしまいます。
このコラムでは太陽光発電システムの[システム償却年数]を中心に、開発中に集めた資料やWebサイトに掲載されている情報からまとめてみたいと思います。


モニター調査資料

(財)新エネルギー財団がまとめた、
「平成19年度新エネルギー設備導入促進情報提供等事業 太陽光発電モニター事業等に関する調査」
という資料があります。
これは、戸建住宅に太陽光発電システムを設置した方を対象に行ったモニター調査をまとめたものです。
このモニター調査から太陽光発電システムに関して抜粋してみます。


太陽電池の種類について

太陽電池にはいろいろな種類があり、下の表は実際に設置された太陽電池の種類と設置割合、発電電力量、特徴です。

太陽電池種類

設置割合
(%)

発電電力量
(kWh/kW)

特徴
(他の資料から抜粋)

単結晶 

14

680

変換効率が比較的高い。
多結晶に比べて高コスト。

多結晶 

80

665

単結晶に比べて変換効率が若干低い。
コストパフォーマンスが最も高く、市場でもっとも使用されている。

アモルファス

4

706

年間の発電量が結晶タイプより10%アップ。
結晶タイプより広い面積を必要とする。

この表からもわかるように、多結晶が一番多く使用されています。
コストパフォーマンスが高いのがその理由でしょう。
発電電力量に関しては、アモルファスが一番多く発電しています。
太陽電池の種類における費用対効果の比較・・・・調べようとしましたが、これはいろいろな要因に影響されますので、一概に結論を出せそうにないので断念しました。


太陽電池設置面数と発電電力量

設置面数と発電電力量の関係は以下のようになっています。

設置面数

発電電力量 (kWh/kW)

単面設置

696

2面設置

649

3面設置

624

4面設置

595


設置面数が多くなるほど発電電力量が減少しています。
どこかの資料で、「発電電力量が太陽電池パネルの設置面数に比例するとは限らない」という記述を見たのですが、本当のようですね。


太陽電池出力・システム価格の平均

太陽電池出力とシステム価格に関しては次のような内容となっています。

太陽電池出力 (kW)

システム価格(1kWあたりの平均)

最小値

1.00

新築

60.7万円

最大値

9.37

既存

78.3万円

平均値

3.55

全体

75.5万円

この太陽電池出力の平均と1kWあたりのシステム価格平均からシステム価格を算出してみます。
また、システム価格を太陽光発電システムから発電された電気料金で割った数字を[システム償却年数]と考えます。

その前にここで、太陽光発電システム電力計算プログラムから年間の発電電力量、電気料金を計算してみます。

設定情報(設置場所)

設定情報(太陽電池モジュール)

年間予測計算結果

場所

東京都東京

出力

3.55kW

発電電力量

3,411.48(kWh/年)

傾斜角

年間最適傾斜角

設置形態

屋根一体形

電気料金

77,986.42(円/年)


システム償却年数

太陽電池出力、システム価格の平均、予測電気料金から[システム償却年数]を計算してみます。

システム価格

太陽電池出力の平均 × システム価格(1kWあたりの平均)

268.025(万円)

3.55(kW)× 75.5(万円/kW)

システム償却年数

システム価格 ÷ 年間予測電気料金

34.36816(年)

268.025(万円)÷ 7.798642 (万円/年)


計算した結果、[システム償却年数]が約34.4年になりました。
偶然にもフラット35(*注)とほぼ同じになってしまいます。
34.4年はちょっと長すぎてほとんどメリットがありませんので何か方策を探しましょう。
そう言えば、省エネルギー対策には減税措置や補助金制度があります。
次回は、太陽光発電システムに関する補助金制度を調べてみます。

注:フラット35とは、旧住宅金融公庫と民間金融機関が共同で行っている全期間固定金利型の住宅ローンです。
返済期間は15年~35年となっています。
住宅ローンを借りる時点で、返済が完了するまで月々の返済額が確定するのがフラット35のおおきな特徴のひとつです。