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事例レポート
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詳細な解析による耐震性能評価 土壁架構の実験検証解析で証明されたSNAPの実力
  •  古来より日本の建築材料として使われてきた「木」。日本には多数の木質構造物があります。
     阪神・淡路大震災では、多くの木質構造物に被害が生じ、その後、木質構造に関する実証実験や研究が増えました。過去において経験的に評価されていた接合部、貫、壁などの耐力、変形性能が工学的に解明されつつあり、これらの研究成果から新しい木質構造の可能性が広がっています。
     今回は、木質構造物の解析を中心に、木材工学の視点から木質構造の研究を行っている京都大学生存圏研究所生活圏構造機能分野の事例を紹介します。




研究の目的


小松幸平 名誉教授
京都大学生存圏研究所
生活圏構造機能分野
小松幸平 名誉教授
※本文中の役職名は取材当時のものです。

京都大学 生存圏研究所
発足
2004年4月1日(旧機関を統合再編)
所長
津田敏隆
所在地
京都府宇治市五ヶ床
URL
https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/
  •  木材は、地球上で最も環境負荷が小さく、理想的資源循環系を形成可能な唯一の工業材料です。京都大学生存圏研究所生活圏構造機能分野では、木材を構造材料とした木質空間構造(建物、橋、その他)の構造耐力発現機構を解明し、生活圏環境に出来るだけ負荷をかけない自然環境調和型木質空間を創成することを研究の目的としています。
     今回お話を伺った小松幸平教授は、木質構造の接合部に関して造詣が深く、2009年に刊行した日本建築学会「木質構造接合部設計マニュアル」では、編集小委員会の主査を務められています。


SNAP導入の経緯と評価


  •  「SNAPを導入して最初に木質構造の解析を行ったのは、大学院の学生でした。SNAPは木質構造の解析に使用できると考え、自らも利用するようになりました。
     2003年に導入してからは、実験の検証解析やラグスクリューボルトを使用した木質ラーメン構造物などの解析に使用しています。
     通常、実験は静的荷重による正負交番載荷で実施します。SNAPは、静的増分解析で正負交番載荷に対応しています。正負方向の変位制御による交番載荷の解析により実験の検証ができることが、大きな特色だと思います」。






土壁架構の解析


  • 小松教授に最近の解析事例を紹介して頂きました。
    なお、本解析事例は、WCTE(WORLD CONFERENCE ON TIMBER ENGINEERING)2010で発表しています。※1

実験結果と解析結果の比較

タイプ別SNAP解析モデル
タイプ1:SNAP解析モデル タイプ2:SNAP解析モデル タイプ3:SNAP解析モデル
タイプ1:実験結果と解析結果の比較 タイプ2:実験結果と解析結果の比較 タイプ3:実験結果と解析結果の比較
実験結果と解析結果の比較 実験結果と解析結果の比較 実験結果と解析結果の比較

  • 「日本の伝統建築の構法である土壁架構について、3タイプの試験体の実験を行いました。
     タイプ1は、3段の貫を配置した1スパン(980mm)の土壁架構、タイプ2は、中間に柱を配置した2スパン(2×980mm)の土壁架構です。タイプ3は、試験体図に示すように、土壁の小壁を配置した中間に立貫を持つスパン1960mmの架構です。
     試験体の総数は、各タイプ3体ずつの計9体です。

     解析モデルは、接合部や土壁等の復元力特性を設定したモデルによる解析です。従って、柱-貫接合部の曲げの復元力特性、柱-土台、柱-桁接合部のほぞによる貫効果とダボ効果を考慮した曲げの復元力特性、土壁のせん断力の復元力特性を設定する必要があります。
     柱-貫接合部、柱-土台、柱-桁接合部の非線形の復元力特性は、小松研究室で行った既往の研究から求めました。
     土壁の復元力特性を土壁単体の実験から求めるのは困難です。そこで、土壁が付いた試験体から得られた層せん断力-層間変位から、フレームのみの試験体の層せん断力-層間変位を引いて、土壁単体の復元力特性のモデル化を行いました。
     各接合部の曲げ、土壁のせん断力の履歴特性は、松永、曽田、宮津の提案したNCLモデルです。※2
     解析は、接合部の曲げ、土壁のせん断力の履歴特性をSNAPの「木造用NCLモデル(WE4)」でモデル化を行い、正負交番載荷による静的増分解析を実行しました。」。


試験体図(タイプ3)

試験体図(タイプ3)


  •  「1~3までの各タイプのSNAPによる解析モデル図と、試験体3体の実験結果(層せん断力-層間変形角)とSNAPによる解析結果を示します。解析結果の図から、実験結果と解析結果がほぼ一致していることが確認できました」。


  • ※1 WCTE2010 「PREDICTION OF NON-LINEAR LOAD-DEFOMATION CURVES OF VARIOUS TYPES OF MUD SHEAR WALLS SUBJECTED TO LATERAL SHEAR FORCE」 Kohei Komatsu、Akihisa Kitamori、Kiho Jung、and Takuro Mori
  • ※2 松永裕樹、曽田五月也、宮津祐次「木質構造物の復元力特性のモデル化と動的解析への適用」 2007年日本建築学会関東支部研究報告集


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  • SNAP機能紹介:偏心率・剛性率計算
  • 偏心率・剛性率計算
    SNAP」の増分解析では、0ステップや最終ステップなど、指定した最大5つの荷重ステップに対して、剛性率、偏心率計算ができます。

    部材が塑性化した場合の層剛性は、右図に示すように部材の各荷重ステップの割線剛性を求めて算出します。層剛性から求めた剛心位置と部材の初期軸力(初期軸力が無い場合は、節点の質量)から求めた重心位置から偏心率計算を行います。
    剛性率は、剛心位置での層間変形角の逆数から算定をします。

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