BUS−2.5 Q&A集
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Q.515
鉄骨部材の断面係数はどのように算定するのですか?
A.
鉄骨部材の断面係数Zの算定は、次の基本式に従って行います。
Z=(If+Iw)/(H/2)
If:フランジ部分の断面2次モーメント
Iw:ウェブ部分の断面2次モーメント
H :断面のせい
断面2次モーメントの算定に際しては、以下に示される種々の条件を考慮しま
す。
(1) 梁部材の場合
i) 端部
@ ウェブの算入の要否
A ウェブを算入する場合、スカラップ欠損の考慮の要否
B 幅厚比の検討
ii) 継手部
端部側と中央側の部材サイズが異なる場合は、両者の断面係数の小さい方
とします。
@ ウェブの算入の要否
A ウェブを算入する場合、断面欠損率の考慮
B ウェブを算入する場合、スカラップ欠損の考慮の要否
C フランジ部分のファスナ欠損の考慮
D 幅厚比の検討
iii) 中央部
@ ウェブ算入の要否
A 幅厚比の検討
(2) 柱部材の場合
@ ウェブ算入の要否
A ウェブを算入する場合、スカラップ欠損の考慮の要否
B ウェブを算入する場合、断面欠損率の考慮
C 幅厚比の検討
(3) 幅厚比の検討
幅厚比の検討は、以下の方法で行います。
Kf:フランジ幅厚比の当面の緩和値
Kw:ウェブ幅厚比の当面の緩和値
C=B−Kf×tf×2
Cw=h−Kw×tw
上記のCf,Cwを用いて次式の様に断面係数を求めます。
If=(B−Cf)×(H3−h3)/12
Iw=tw×(h3−Cw3)/12
Z =(If+Iw)/(H/2)

(4) フランジのファスナ欠損の算定
フランジ部分のファスナ欠損は、フランジ幅を考慮して次のように算定し
ます。
i) ボルト穴径 高力ボルト径+2o
ii) 片側ゲージ本数(フランジ幅をBとして)
B<299 1本
299≦B<348 (*) g=40o
348≦B<433 2本
433≦B<475 (*) g=55o
475≦B 3本
(*)は、鋼構造設計規準の13.1引張材の有効断面積の条項にしたがって算
定します。この場合、ボルトピッチをボルト公称軸径の3倍とし、ゲージ
間隔を上記のgの値とします。
iii) 得られた片側ゲージ本数とボルト穴径との積の2倍をフランジ幅から控
除します。
<計算例>
端部 BH−400×200×9.0×12 (SS41)
中央 RH−396×199×7.0×11 (SS41)
スカラップ径 35o
大梁継手部ウェブ断面欠損率 15%
ウェブの考慮 端部…スカラップ孔欠損して考慮する
継手…考慮しない
継手部接合方法 高力ボルト (M20)
(1) 幅厚比
BH−400×200×9.0×12
フランジ (B/2)/tf=20/2/1.2=8.3<11
ウ ェ ブ (H−2・tf)/tw=(40−2×1.2)/0.9=41.8<65
RH−396×199×7.0×11
フランジ (B/2)/tf=19.9/2/1.1=9.0<11
ウ ェ ブ (H−2・tf)/tw=(39.9−2×1.1)/0.7=53.9<65
(2) 端部
h =40−1.2×2=37.6
he=h−3.5×2=30.6
If=20×(403−h3)/12=18071.0
Iw=0.9×he3/12 = 2148.9
Z =(If+Iw)/(H/2)=(18071.0+2148.9)/(40/2)=1011.0
(3) 継手部
端部側鉄骨
B=200 よって片側ゲージ本数は1本
ボルト穴径 = 20+2=22
Be=20−2.2×2=15.6
If=Be×(403−h3)/12=14095.4
Iw = 0
Z =(If+Iw)/(H/2)=704.8
中央側鉄骨
B=199 よって片側ゲージ本数は1本
ボルト穴径 = 22
Be=19.9−2.2×2=15.5
h =39.6−1.1×2=37.4
If=Be×(39.63−h3)/12=12639.6
Iw = 0
Z =(If+Iw)/(H/2)=638.4
したがって継手部の断面係数Z=638
(4) 中央部
断面欠損なし したがって Z=1011