BUS−2.5 Q&A集
目次
Q.407
S造の引張ブレース(タイプ4)を指定する場合、マニュアルにはブレース断
面積を1/2とすると記載してありますが、使用するブレース断面積の1/2をデー
タとして入力するのですか?
また、引張ブレースと指定したのに圧縮ブレースにも軸力が表示されています。
A.
マニュアル(概要編、入力編)の記載の説明は、引張材として使用するX形の
ブレース断面積を入力すると、プログラムで自動的に入力された断面積の1/2の
断面積を持つ圧縮、引張のいずれにも有効なX形のブレースに置換して応力計
算を行うということを述べたものです。これは図407-1の(a)、(b)のいずれもフ
レームの水平抵抗要素としては図407-2は同じであることによります。但しこ
の置換は水平荷重時の建物、フレームを対象とした応力計算には問題ありませ
んが、下記の場合、置換したブレースおよびブレース周辺柱の軸力については、
引張材のX形ブレースとしては正しい結果となっていませんから注意して下さ
い。
@ 水平荷重時
フレームに水平力が作用する場合、本来図407-1(a)のAC材、(b)のBD材
にそれぞれ作用する軸力の1/2を図402のAC、BD材に同時に作用させて
いますから、図407-2で左加力の場合の引張ブレースACの軸力、および圧
縮柱CDその階のブレース鉛直成分による軸力は実際の値の1/2となって
います*1)(図407-3)。ブレース材の断面設計の場合は軸力を2倍として
計算する必要があります。柱CDの断面計算結果についてはその階のブレ
ースの鉛直成分から作用する軸力の差分を加算してのチェックが必要です。
*1) 図407-3は水平力を引張ブレース(a)、引張・圧縮ブレース(b)のみに負担さ
せた計算の結果です。(b)図の式中の*印は上階圧縮ブレースの鉛直成分
による数値です。
引張ブレースを等価の引張・圧縮ブレースに置換したことによる圧縮柱の
軸力は、その階のブレースの鉛直成分が1/2になっているだけで、上階のブ
レースからの鉛直成分は考慮されています。例えば図407-3(a)の1階柱の
N1=15.0は(b)図のN1=11.25に1階の引張ブレース・圧縮ブレースの鉛
直成分の3.75を加算することにより得られます。したがって(c)のDE柱
のようにその階にブレースがない柱については補正の必要はありません。

図407-1

図407-2

図407-3
A 鉛直荷重時
X形の引張ブレースを断面積を1/2とした圧縮形のX形ブレースに置換す
ることは鉛直荷重時にも影響は生じますが、引張ブレースの1/2とした置換
ブレースの鉛直剛度は柱の軸方向剛度に比べて小さいので一般には問題に
はならないと思われます。
しかし、図407-4(a)の2、3層はりに鉛直荷重が作用する場合は、圧縮力
を負担出来ないDA、DE材が断面積を1/2にした圧縮材として負担します。
このためDC材に引張力が生ずることがあります。この場合図407-4(b)の
圧縮形ブレース(タイプ2、3)とすればDC材には圧縮力が作用します。
実状にあわせてモデル化をし、結果を検討して下さい。

図407-4