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事例レポート
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詳細な解析による耐震性能評価 鉄塔の制振補強設計で証明されたSNAPの実力
  •  大地震発生後のライフラインの確保は、迅速な災害復旧のために必要不可欠であるのは言うまでもありません。近々に発生が懸念されているM7を超える大地震に対して、新規のインフラ設備の耐震性能の向上とともに、既存のインフラ設備の耐震性能の向上が望まれています。
     今回は、「SNAP」を利用して、建物の屋上に設置された既存の通信鉄塔の制振補強を実施している中電不動産株式会社の事例を紹介します。




業務内容


後藤盛昌 氏
中電不動産株式会社
建設事業本部設計部
調査・研究グループ
後藤盛昌 氏


中電不動産株式会社
創立
1957年4月20日
所長
栢 一生
所在地
名古屋市中区栄二丁目2番5号
URL
https://www.chudenfudosan.co.jp/
  •  中電不動産株式会社は、一般建築物・特殊建築物および無線通信鉄塔などの工作物までの設計や耐震検討を行っています。その中で、想定東海地震・東南海地震・南海地震への対策として、建物の屋上に設置された100基以上の通信鉄塔の耐震診断および補強設計を実施されています。補強設計の方法として、通信鉄塔の構造特性に応じて、部材補強による方法、ダンパー材による制振補強などを行っています。
     通信鉄塔の補強設計を担当した、建設事業本部設計部調査・研究グループの後藤盛昌氏、山本景司氏にお話を伺いました。


SNAP導入の経緯


  •  「通信鉄塔の耐震検討では、応答解析において、部材の変位、応力状態を正確に把握する必要があり、部材系モデルによる弾塑性応答解析ができるプログラムを採用することになりました。一貫構造計算プログラムであるBUS(株式会社構造システム)を利用していましたので、BUSから、質点系モデル、部材系モデルのデータ転送もできることから“SNAP”を導入しました。」


SNAPによる制振補強例


  •  「電力用無線通信鉄塔は、『電気設備の技術基準の解釈』およびJEC-144[電力用無線通信鉄塔・鉄柱設計標準](電気学会電気規格調査会発行)により設計されています。既存の通信鉄塔の設計では、JECによる風荷重が地震力を上回っているために、風荷重で設計をしていました。しかし、告示波や想定地震波による時刻歴応答解析の結果から、一部の部材が座屈する通信鉄塔があることがわかりました。
     そこで、コストを考慮しながら耐震補強方法を検討しました。補強方法として、1)部材補強による方法、2)アンボンドブレース(UBB)による制振補強、3)チューンド・マス・ダンパー(TMD)による制振補強、4)その他(鉄塔上部撤去など)を検討しました。
     UBBによる制振補強は、斜材が座屈する通信鉄塔に有効で、座屈する斜材をUBBに取替、地震時のエネルギー吸収を図り、耐震性を確保しました。なお、風荷重時にはUBBは弾性としています。既設部材の取替のためコストも安く、耐震性の向上が図れます。

    TMDによる補強モデル図
    TMDによる補強モデル図

     SNAPによる解析モデルは、建屋を等価せん断型の質点系モデルとして、通信鉄塔を部材系モデルとし、UBBは鋼材ダンパーでモデル化します。
     TMDによる制振補強は、柱材の補強が必要な通信鉄塔に有効で、通信鉄塔の最上層に鋼材で構成された錘と、錘の自重を支持するすべり支承、周期調整用の積層ゴム及び粘性ダンパーを配置しました。SNAPによる解析モデルは、建屋を等価せん断型の質点系モデルとして、通信鉄塔とTMDを部材系モデルとし、TMDの固有周期は、鉄塔の1次の振動数と同調するように設計しました。」


TMDを設置した場合としない場合の比較グラフ

図1:1次刺激関数値図2:最大応答変位図3:最大応答せん断力
図1:1次刺激関数値図2:最大応答変位図3:最大応答せん断力

  •  「TMDを設置することにより、1次の固有周期は、非制振モデルと比較して長くなります。しかし、図1の1次刺激関数値からわかるように、TMDを設置することにより、鉄塔部分の刺激関数値が非制振モデルより小さくなることが確認できます。
     告示波と想定地震波による時刻歴応答解析を行い、TMDモデルと非制振モデルの応答値の比較をしました。
     図2・図3は、TMDモデルと非制振モデルを告示波による時刻歴応答解析を実行して、最大応答変位、最大応答せん断力の求めた結果を示しています。
     鉄塔部分の変位、せん断力とも非制振モデルの最大応答値と比較すると、50%以上低減されたことが確認できました。
     アンボンドブレースやTMDによる制振補強では、実物大フレーム実験により接合部を含めた各部材の基本特性を確認し、設計モデルの妥当性の確認を行いました。
     SNAP-GPにより、非制振と制振モデルのアニメーションを作成し、クライアントへのプレゼンテーションに効果的に利用できました。また、サポートは、質疑に対して、即座に回答を得られ、満足しています。」


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  • SNAP機能紹介:鋼材ダンパーの疲労損傷度の評価
  • 鋼材ダンパーの疲労損傷度の評価
    SNAP」では、アンボンドブレース等の制振材で利用する鋼材ダンパーの疲労損傷度をMiner則に従って評価することができます。
    ダンパー部の疲労特性は、一定振動下における歪振幅 Δε と疲労寿命 Νƒ との関係から求めた疲労限界までの疲労曲線を Δε=P1ƒP2 として、疲労損傷度を評価します。
    鋼材ダンパーのプロパティで「疲労損傷評価」にチェックを行うと、疲労曲線のパラメータを設定することができます。
    歪振幅は、レインフロー法により歪振幅頻度分布を求め、歪振幅頻度分布と疲労曲線からMiner則に従って、疲労損傷度を評価します。

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