コラム 屈折率
  • Last Updated 2012/01/16

開発コラム  DRA-CADの屈折率

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DRA-CAD10 plusの新機能

DRA-CAD10 plus では「材質の設定」に「屈折率」が新機能として追加されました。
本コラムでは、DRA-CAD10 plus の屈折率について説明します。


屈折率の考え方

屈折率を設定した材質を適用した閉じたポリラインは、 その面の表(法線の方向)を大気中、裏(法線の反対方向)を媒質中とみなし、
スネルの法則 を適用して光の経路を計算します。[図-1]

例えば、ガラスの屈折率を設定した閉じたポリラインを2つ、各々の法線が逆を向くように並べると、
これらを透過する光は[図-2]のような経路をたどり、間がガラスで充填されている場合と同様の効果が得られます。
また透明な媒質の境界で屈折が起きる場合、同時に入射角度に応じた反射も起きます。
この屈折と反射関係は フレネルの式 で与えられますが、DRA-CAD10 plus のレンダリングでは、その反射も考慮しています。


屈折率が異なる場合の結果

下の例は、屈折率以外の材質設定の諸数値は同じで、屈折率のみ違う値でレンダリングした結果です。
明らかに違う材料、反射、見え方になります。
画像をクリックすると拡大します


実際のレンダリング例

建築関連で屈折を使う場合としては、水面、ガラスブロック(厚いガラス材)、ガラス製の什器等が考えられます。
これらの材料を想定したレンダリング結果を掲載します。
画像をクリックすると拡大します。

例1.水面

左が屈折なし、右が屈折ありです。
屈折の効果としては、
①水底のタイルが波で歪んでいる事
②アーチや雲の映り込みが遠い(入射角が大きい)ほどはっきりしている事
などが挙げられます。
尚、表面の波はバンプマッピングを採用しています。

例2.ガラス器

左のグラスがくすんで見えるのは、日影のせいもありますが、ガラスを灰色で設定しているためです。
入射角によっては、スネルの法則に従ってガラス内で全反射を続けるため、ガラスの色がかなり強く反映する場合があります。

例3.反射回数

DRA-CADではレンダリングの速度を上げるために、初期設定では反射の回数が3回程度になっています。
そのためにガラスの色がきつく反映される事があります。
これを回避するには「レンダリングの設定」の「反射回数」を増やしてください。(10~20程度)
この例は、逆にガラスの色の反映を利用した表現を試みています。
ガラスの色は左から白、碧、黒ですが、その色合いが水槽全体に効果を及ぼしています。
また異なる屈折率のガラス水槽、水、気泡を組み合わせて屈折の状態も試しています。

例4.薄い物体の屈折

一般的に単純な板ガラスでは厚さが薄すぎて屈折の効果は出にくくなります。
ただ小口面があるとスネルの法則(ガラス内からの光は全反射しやすい)により、小口面にガラスの色が反映されます。
この例はガラスのカーテンウォールですが、マリオンの小口にしっかりとガラスの色が付いています。

その他の例






空気の屈折率

DRA-CAD10 plus では、オブジェクトは大気中にあるとみなしていますので、空気の屈折率が基本となります。
各ダイアログで設定する屈折率は空気に対する相対屈折率になります。
したがって、[空気]ボタンをクリックすると屈折率は1が設定されます。

参考:0℃、1気圧の場合の空気の絶対屈折率の値は[1.000292]となります。
例えば、絶対屈折率[2.420]のダイヤモンドは[2.420÷1.000292=2.419]を指定します。
ただし、空気の絶対屈折率の小数点以下は極めて小さいので、絶対屈折率[2.420]をそのまま指定してもレンダリング結果には殆ど影響しません。

注:本コラムはDRA-CAD10 plus Ver.10.8.0.1 時点での機能を紹介しています。
その後のバージョンでは変更されている場合もありますのでご了承ください。